「球界の紳士」であり「瞬間湯沸かし器」の異名も 巨人を日本シリーズ奇跡の4連勝で日本一導いた名将
創立90周年を迎えた巨人。巨人での出場試合が多い野手、投手を中心に記録にも記憶にも残る歴代の「偉人」を紹介します。第34回は藤田元司。 * * * 藤田元司はONの後を引き継いだ名将だ。 1931年8月7日、愛媛県出身。西条北高から慶大。力投が報われず悲運のエースと称され、日本石油を経て57年入団。1年目から17勝を挙げ新人王。背番号が18になった58年、自己最多の29勝。翌59年は27勝で最多勝。セで初めて2年連続MVPを獲得した。同年6月25日の天覧試合では完投勝利を飾った。 63年に兼任コーチとなり64年に引退。現役生活はわずか8年だった。 65~73年にコーチ、その後スカウトなどを経て81年、長嶋監督の後を受け第11代監督に就任すると、日本ハムを破り1年目に日本一に輝く。 83年に勇退、王監督に引き継ぐが89年、再び監督に。日本シリーズでは近鉄と対戦。3連敗から奇跡の4連勝で日本一となる。90年、リーグ優勝も西武に4連敗。92年限りで退団するが、7年間指揮を執り優勝4回、日本一2回の実績を残した。 現役時代は物静かなたたずまいで「球界の紳士」と言われた反面、指導者となってからは短気な性格から「瞬間湯沸かし器」の異名もとった。96年、殿堂入り。06年に死去。
報知新聞社