【社説】2025年問題 社会保障の改革に道筋を
■応能負担を徹底せよ
若い世代は社会保障制度の将来に不安を抱いている。安心して負担を分かち合えるように、痛みを伴う改革に早く着手しなくてはならない。 経団連は昨年12月、団塊ジュニア世代(71~74年生まれ)の全員が高齢者となる40年までの中期ビジョン「フューチャー・デザイン2040」を発表した。 財源不足を克服するため、富裕層の所得税の負担強化など個人の経済力に合った応能負担の徹底を提言した。若い世代の社会保険料の伸びを抑えるのが狙いだ。 金融資産への課税強化などで34年度に5兆円程度の財源が確保できると試算し、足りない場合は消費税増税や企業負担で補う。 提言は検討に値する。研究機関などの改革案と併せて、国民的な議論を活発化させたい。 忘れてはならないのは、社会保障の本質である支え合いだ。超高齢社会の共通認識としたい。 誰もが老い、体の機能が低下する。いつ支えられる側になってもおかしくない。 エレンさんは「周りのみんなが優しく、日本が大好きです」と笑顔を見せる。福祉は現場の人たちの情熱で成り立っている。そこにも思いを寄せる必要がある。 社会福祉や公的扶助は、さまざまな境遇の人たちを包摂する共生社会の基盤である。 どこに住んでいても支援を受けることができ、制度から漏れる人をつくらない。福祉国家への道筋を確かにする年にしたい。
西日本新聞