【セントウルS回顧】課題を克服したトウシンマカオ 充実一途でGⅠ制覇に向けチャンス到来
進化が止まらないトウシンマカオ
中山の京成杯AHと同じく、こちらもサマーシリーズ最終戦というより、今秋に向けた前哨戦といった色が濃かった。夏の主役ピューロマジック、モズメイメイもサマースプリントシリーズ逆転優勝をかけたが、レースは完全にスプリンターズSの前哨戦。レースは大外枠からあり余る前進気勢をみせたママコチャが積極的に3番手につけた。ダッシュ力で先手を奪ったピューロマジックは逃げたものの、これまでにないプレッシャーを受けた。今までは卓越したスピードで後ろを離し気味に進める同馬だったが、今回は後ろについて来られた。やはりコース形態上、ペースが上がりにくい中京で飛ばすのは簡単ではなく、メンバーもさすがに前走よりワンランク上だった。 【セントウルステークス2024 推奨馬】夏は大得意、勝率50%で複勝率80%! SPAIA編集部の推奨馬を紹介(SPAIA) ほぼ一団でひしめき合いながら迎えた後半は11.4-11.1-11.6。ここでついて来られない馬も多かった。これらハイレベルな先行勢の競り合いを後方から狙ったのが勝ったトウシンマカオ。ママコチャが休み明けのぶん、最後に脚が鈍ったところを見逃さなかった。これまで中京は【0-0-0-4】だが、2回は不良と重の高松宮記念。良馬場ならシルクロードS4着と鬼門というほどではなかった。表面的な成績の向こうを見ないといけなかった。反省したい。 さらにこれまで成績を残せなかった中京で上がり600m33.1の強烈な決め手。こういった一変は本格化の合図である可能性が高い。かつては平坦中心、その後は中山で重賞を勝ち、中京もクリアした。着実にGⅠに近づいている。好位から抜け出す好走パターンも今回は差して結果を出した。脚質の幅も広がり、マイナスポイントはほぼなくなった。これも本格化と呼んでいい。 母ユキノマーメイドの産駒には8歳でOP特別を勝ったベステンダンクがいる。その下のサンキューも7歳で3勝目をあげた晩成の血。トウシンマカオの成長曲線も母系の良さのあらわれ。父ビッグアーサーは5歳時に高松宮記念を勝ち、セントウルSも勝った。1番人気に推された同年のスプリンターズSはもはや語り草となっている最内ドン詰まりで消化不良の12着。トウシンマカオは父のぶんもスプリンターズSで思う存分走ってほしい。本番で1枠1番だけは引かないことを祈る。とはいえ今の自在性なら克服する可能性もある。