かつお菜 雑煮以外の調理法は
テレQ(TVQ九州放送)
福岡の正月の雑煮に欠かせない食材といえば「かつお菜」ですが、かつお菜は福岡特産の野菜で、県外にはほとんど流通していません。かつお菜農家が抱える悩みと雑煮だけではない調理法を探してみました。 「かつお菜」。福岡県内ではなじみ深い正月の雑煮の具材ですが、県外ではそうではないようです。 買い物客 「宮崎出身で、まだ食べたことがない」 かつお菜は県内各地で栽培されている伝統野菜です。うまみ成分であるアミノ酸が豊富に含まれていて「かつお節と似た風味が出る」という意味でこの名前が付けられたということです。かつお菜は県外ではほとんど栽培されておらず、県内での栽培が99%を占めます。 北九州市小倉南区高津尾の川上さんの農場では、正月に向けて出荷のピークを迎えています。 農家 川上浩平さん 「出荷は1日50~60ケース。最後の一週間が最後の大仕事なので頑張りたい」 ただ2024年は例年とは違い、異常気象の影響があったといいます。 「9月ごろの高温、11月ごろの雨でなかなか葉っぱが張らない状態」 JA北九によりますと、2023年はJA北九の出荷組合の生産農家4軒が年間約25トンを出荷。2024年は猛暑と季節外れの降雨の影響で、生産量が2割ほど減少しているといいます。また、川上さんは生産量の減少に加えて、こんな悩みも語ってくれました。 「かつお菜の認知度が低い」 実はかつお菜はほとんど県内でしか消費されておらず、しかも正月の雑煮など、使う料理が限定的です。 福岡大同青果によりますと、2023年、かつお菜が市場に出回る10月~3月のうち、12月が約8割を占めていたということです。限定的な消費であるため、川上さんは多くの料理で使ってほしいと声を上げます。 「脱雑煮で、キャベツや白菜、ブロッコリーに並んでいきたい」 実際、かつお菜はどのように活用されているのでしょうか。 買い物客 「雑煮以外はほとんど使わない」 「炒めたらおいしいと聞いたことがある」 買い物客 「日常使いできるレシピがあったら知りたい」 雑煮以外のイメージが湧かない人が多いようです。 では、料理研究家はかつお菜をどう使うのでしょうか。 料理研究家 古川麻水さん 「ロールキャベツならぬロールかつお菜。かつお菜で作ってもおいしいんですよ」 この後、福岡の料理研究家にかつお菜の雑煮以外の調理法を紹介してもらいます。 福岡県の伝統野菜「かつお菜」。正月の雑煮に欠かせない具材ですが、雑煮以外の料理が浸透していません。福岡の料理研究家の古川麻水さんに、試したくなるかつお菜料理を実際に調理してもらいました。 「ロールキャベツならぬロールかつお菜を作っていく」 今回古川さんが作るのは和風ロールかつお菜。かつお菜がもつうまみ成分を生かせる料理で、雑煮で余ったかつお菜を上手に使い切ることができます。 「ちょっと下ゆでをした方がかつお菜は使いやすい。えぐみも取れる」 まずは沸騰させたお湯に塩を入れて1分ほどゆでます。芯はみじん切りです。 次に、ボウルに豚ひき肉とみじん切りにした芯、長ねぎ、ショウガ、そのほか酒、塩、片栗粉を入れてロールかつお菜のタネを作ります。 「20分ぐらい煮込むので大きくてもいいが、たわら型おにぎりくらいが食べやすい」 続いて作ったタネをかつお菜の上に乗せて包み、煮込む準備をします。 「手軽にめんつゆで煮ていく。冬なので、ショウガが入ると温まっておいしい」 沸騰したら火を弱め、20分ほど煮込みます。 「火を止めて、おーできた」 「最後にごま油をかけるとよりおいしい」 調理時間はおよそ30分、和風ロールかつお菜の完成です。 記者 「かつお菜からいいだしが出ている」 「いくらでも食べられる」 古川さんによりますと、動物性の食品と組み合わせるとかつお菜が持つうまみが引き立つということで、ロールかつお菜に限らず多くの料理にマッチするといいます。また、ホウレンソウや小松菜などと食感や風味が似ているため、代用品としても使えるんです。地域の野菜として料理の幅が広がることが期待されています。
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