中学時代は補欠、阪神で戦力外も…育成契約から「素質開花の苦労人」は
バットで存在をアピール
巻き返しを狙う中日の起爆剤になっている男がいる。阪神を昨季限りで退団し、育成契約の入団からはい上がった板山祐太郎だ。 【選手データ】板山祐太郎 プロフィール・通算成績・試合速報 身体能力の高さと走攻守のバランスの良さに定評があったが、阪神では一軍のレギュラーをつかめなかった。プロ8年目の昨年は12試合出場で打率.059、0本塁打、0打点。チームは38年ぶりの日本一に輝いたが、オフに戦力構想から外れた。 まだできる――。現役続行を目指すためにオフに右肘遊離軟骨除去手術を受け、中日に育成契約で入団。5月5日に支配下昇格で即一軍から声が掛かり、「支配下登録され、うれしい気持ちと身が引き締まる思いでいっぱいです。昨年、阪神を戦力外になって、こうやってドラゴンズにもう一度チャンスをいただけたことに、毎日野球ができる喜びを感じながらプレーしてきました。自分の特徴は守備で言えば、いろんなポジションを守れるというところ。そこに関しては1球1球ムダにできないという思いでやってきました」と決意を口にしていた。内外野を守れるユーテリティーが武器だが、バットでも存在をアピールしている。
「三番・一塁」でスタメン出場した6月25日の古巣・阪神戦(倉敷)。0対0で迎えた8回二死三塁の好機で才木浩人のスライダーを一、二塁間にはじき返す決勝の適時打を放った。猛打賞の活躍でお立ち台に上がると「最高にうれしいです!」と叫んだ。7月5日から本拠地・バンテリンドームで行われた広島戦でも同一カード3連勝の立役者に。6日に相手エース・大瀬良大地から移籍後初アーチを右翼席に叩きこむと、7日は同点で迎えた9回一死満塁で守護神・栗林良吏から右前に運ぶサヨナラ適時打を放った。 チームは敗れたが衝撃の一発も。9日のDeNA戦(横浜)で、3点差を追いかける6回二死一塁で、ドラフト5位右腕・石田裕太郎が内角に投じた145キロの難しい球を右翼席中段に叩きこんだ。肘をたたんで体をコマのように回転させる高等技術に球場がどよめいた。11日の同戦も4回に右翼フェンス直撃の三塁打を放ち、逆転の口火を切った。今季30試合出場で打率.326、2本塁打、10打点をマーク。期待以上の活躍を見せている。