「何を言い出す」役員会にもかけられた高橋名人の後悔「ゲームは1日1時間」発言はもっと早くすべきだった
高橋名人:何を言い出すんだと、まず問屋さんから怒られましたね。ゲーム会社の人間が「ゲームするな」と受け取られちゃって。翌日に役員会が開かれて、「高橋が何か言い出したらしい」と、話し合いになりました。 すると社長が、「ゲーム=不良みたいなイメージもあるから、企業としてきちんとした姿勢を示したほうがいい」と後押ししてくれたんです。それで、僕が言った内容を5か条の標語にして、ゲームソフトのマニュアルに掲載したりしました。
その5か条の標語はこちらです。 ・ゲームは一日一時間 ・外で遊ぼう元気良く ・僕らの仕事はもちろん勉強 ・成績上がればゲームも楽しい ・僕らは未来の社会人! ── 短期的な利益を考えると「何を言い出すんだ!」となりますが、ゲームが長く愛される存在になるには、これくらいの発想の転換が必要なんでしょうね。この出来事はゲーム販促の全国キャラバンが始まった年のことですよね。 高橋名人:はい、全国キャラバンを始めて1週間めで言いました。それでも遅かったと思います。 ゲームに対して、けじめをつけて遊ぼうともっと早く言っておくべきでした。でも、最初はキャラバンの運営などに気をとられ、そこまで頭がまわりませんでした。
■『おはスタ』出演で学校に遅刻する子が続出! ── 通常業務もこなしながらの「名人」活動、相当忙しかったのでは? 高橋名人:土日はほぼイベントが入っていたので、水曜日を休日にしていました。ただ、その水曜日もテレビ東京の朝の番組『おはようスタジオ』に出演して、その後も朝10時ころまで打合せで、丸1日は休めませんでした。でもブラックではありませんよ、本人がやりたくてやっていたので。 ── 社員だったからこそ、業界の将来も考え、長期的な視野でゲームの子どもたちへの影響もちゃんと考えられたのかもしれませんね。ご自身の影響力を感じた出来事は?
高橋名人:『おはようスタジオ』には親御さんからクレームの電話がかかってきたんですよ。私が出演する日は、子どもたちが私の出演を見終わるまで登校せず、遅刻してしまうと。 「それはいけない」と、出演時間を番組の最後のコーナーから最初のコーナーに変更してもらいました。 ── そんなところまで影響が!高橋名人を主人公にしたゲームソフト『高橋名人の冒険島』シリーズや漫画もありましたね。タレントなみの活躍ですが、ずっと社員として勤務されていたんですよね?