マクラーレンの750Sに試乗! まさにスポーツカーにとって、理想的なデザインと実感する理由
スポーツカーのデザインはおもしろい。速く走るには空力が最重要なのだけれど、心を騒がせてくれないと評価されない。もうひとつ、私が感心するのは、150年ぐらいの自動車史において、デザインが陳腐化していないことだ。 【画像多数】マクラーレンの750Sの全体像。理想的なデザイン!
いい例が、ここで採り上げる英国のマクラーレン。オーガニックというのか、複雑な曲面で構成されたボディが特徴的だ。かつてマクラーレンでヘッド・オブ・デザインを務めていたロブ・メルビル氏は、浜辺の波紋や鳥の羽こそ最高の機能美だと語っていた。 2023年に日本発売が開催されたマクラーレン750Sは、メルビル氏の体制下でデザインが確立された720S(2017年発表)の進化形ともいうべきモデルなので、新しいヘッド・オブ・デザインをベントレーから迎えたいまだけれど、個性的なマクラーレン車のデザインを継承している。
750Sのスタイリングも例外ではない。イメージソースはホオジロザメなんだそう。ヘッド部分にボリュウム感があり、そこからすっとリアにいたるまで美しくすぼまっていく。水圧をものともせず高速で泳ぐアグレッシブな姿が、750Sに反映されているのだろう。 このカタチには審美的な意味以上のものがある。720Sに対してフロントエンドの形状が変更され、キャビン背後のボディが延長されたことなどがあり、空力特性が向上。そのことは、走らせてみるとすぐわかるのだ。
750Sのボディは、下面を流れる空気はすばやく後方へと流すことで車体の浮き上がりを防ぎ、上面では前後輪を下へ押しつけるように空気の流れを作る。 750Sでは排気管の設計を変更し、巨大なリアスポイラーの取り付け位置を見直すことで、ミドシップされたエンジンからの熱気を効果的に放出できるようにしている。750Sのリアエンドにおける特徴的なメッシュグリルも、熱の放出を計算して孔の形状などを決めていったとか。
効果は、走らせてみるとすぐわかる。スポーツカーのカタチは、たんに審美性にとどまらないことのよい証明だ。