福島県双葉町の双葉駅東口にコーヒー店 2月23日オープン 東日本大震災発生後で初
福島県双葉町のJR双葉駅東口にテイクアウト専門のコーヒー店が誕生する。大熊町の深沢諒さん(28)が経営し、2月23日の開店に向けて準備を進めている。東日本大震災と東京電力福島第1原発事故発生後、双葉駅前に飲み物を提供する店ができるのは初めて。 秋田市生まれ。秋田県立大卒業後、企業への就職が決まっていたが、コロナ禍で入社直前に内定が取り消しとなり、2020(令和2)年、三島町地域おこし協力隊となった。 隊員となった直後に三島町のコーヒー焙煎士の男性と出会い、人生が変わった。生豆の状態から煎(い)って仕上げた自家製コーヒーを口にし、深みのある味わいに衝撃を受けた。「焙煎技術を教えてほしい」。隊員として活動しながら、頻繁に男性の元へと通った。 豆への火入れの方法や温度調整の方法を学んだ。いつしか、「コーヒーで多くの人を笑顔にしたい」と考えるようになった。焙煎コーヒーを提供する自らの店を出すと決め、2022年に隊員を辞めた。
友人の紹介で楢葉町のシェアハウスに住み込みで働いた。自分で焙煎したコーヒーを食堂で提供し、好評を得た。浜通りを中心に各地のイベントにも参加。約2年半で80回ほどブースを出した。大熊町に移住し、各地を巡る中、双葉郡はコーヒーをゆっくりと飲める場所が特に少ないと感じるようになった。「自分が出店し、地域ににぎわいを生み出したい」と思い立つと、双葉駅東口にある空き物件の紹介を受けた。 双葉町では、店でコーヒーが飲める場所は駅から約2キロ離れた中野地区に限られる。店の前には住民らがコーヒーを飲みながら親睦を深められるようベンチを置く。将来的には焙煎体験やオリジナルコーヒー作りができる環境を整える計画だ。「地域に開かれた場所を目指す。町を訪れるきっかけとなるコーヒーを作っていきたい」との思いを語った。