「大気に国境はない」 ひまわり8号・初の国際協力の取り組み実施
ひまわり8号が観測したオーストラリア北部で積乱雲が発達する様子 (気象庁ホームページより)
気象庁の静止気象衛星「ひまわり8号」が17日午後2時50分までのおよそ2日間、オーストラリア北部の気象状況を2.5分毎という高頻度で観測した。 気象衛星がとらえた森林火災 急な大雨や雷、時には竜巻などの突風被害をもたらす積乱雲を監視することが目的で、オーストラリア気象局からの依頼(リクエスト)に基づくものだ。外国の気象機関からのリクエストに応じたこのような観測は、気象庁としては初の取り組みだという。 国際社会では核、環境汚染、経済、難民、気候変動など数多くの国際問題が山積しているが、「大気に国境はない」(気象庁気象衛星課)といわれる気象の分野では 国際協力が進んでいるようだ。
静止気象衛星ひまわりとは?
静止気象衛星は、赤道の上空約3万5800キロの高さを地球の自転周期に合わせて周回し、東アジア・西太平洋地域の同じ面を観測し続ける。現在、気象庁はひまわり8号(2014年10月打ち上げ)とひまわり9号(2016年11月打ち上げ)の2機体制で静止気象衛星を運用。8号が観測、9号がバックアップで2022年度から役割を交代する予定となっている。 8号、9号は「新世代静止気象衛星」とも呼ばれている。中でも8号は最先端の観測カメラを搭載した新世代静止気象衛星としては、世界で初めて打ち上げられたものとなる。 新世代の衛星の大きな特徴は、従来機(6号、7号)が1時間かかっていた全球と呼ばれる東アジア・西太平洋地域の観測範囲を10分毎に観測できるようになったほか、日本付近については2.5分毎の観測を実施できるようになった点だ。また、台風監視などを目的とした、場所(1000キロ×1000キロの範囲)が変更可能な2.5分毎の観測(機動観測)も可能だ。 また、画像の種類も従来機と比べ3倍以上に増加し、カラー化できるようになったことで、それまで難しかった黄砂や火山灰が飛来、拡散する様子の監視や、海面水温の詳細な分布を算出できるようにもなった。