止まなかった“逆風”…四国唯一の「不記載議員」と呼ばれて 愛媛2区・井原巧氏(自民)の戦い
演説中に突然ペットボトルが…
「作為的に不記載だった議員と、不作為で不記載となった議員をひとまとめにしないでほしい」と訴え続けてきた井原氏。 しかし、不記載問題が世に出たことを契機に自民党には“逆風”が吹き始めた。これまでも与野党の候補が激戦を繰り広げてきた東予地域。ただでさえ接戦が予想されていた中、有権者は井原氏の釈明・説明に納得せず厳しい目を向け始めた。 選挙前、慣れ親しんだ地で街頭演説を行っていた井原氏。 ある人は通り過ぎながら耳をふさぐ仕草をした。また、ある人は親指を下に向けた。そしてまたある人は、空のペットボトルを井原氏に向けて投げつけた。 「すごく傷つきました、有権者の皆さんへの説明はなかなか難しいですよね」 こうした中、石破首相は衆議院を解散。選挙戦に突入した。
最後まで覆らなかった劣勢
「井原さんの存在は愛媛県にとっても非常に大きいということは私から申し上げたい」(中村知事) 今治市で開いた決起会には、中村時広県知事や市長・町長らが応援に駆け付けた。また、かねてから永田町で良好な関係を築いていた石破首相も同席した。 「この経験、心から反省しお詫びすると同時に、だからこそしっかり信頼を取り戻すのも我々の責任だと思い、本日この壇上に立たせていただいております」(井原氏“第一声”) 井原氏は前回2021年の衆院選では、相手候補を約4000票差で振り切った。今回の選挙でもその再現を目指して、「相手の背中は見えている」(井原氏)と自民党所属の県議や市議、各市長らとともに総力戦で挑んだ。
結果は、8万56票。当選した白石洋一氏(立憲)とは2万票以上の差が開く大敗だった。 井原氏は比例重複立候補が認められず落選確実に。支援者らに敗戦の弁を述べた。 「私自身は不記載についても適正な会計をしていましたから。もちろん私が所属した派閥の問題ではございますが、その辺のことをしっかり説明するのも難しかった。有権者の皆様方にはなかなかそのことも伝える、伝わることも難しかった。そういう大きな”風”の中に飲み込まれて戦ってきたと思っています」 井原氏に向かい風として吹き続けた”疾風”。最後の最後まで覆すことはできなかった。