【みかんのスジ】食べないと損?食べると得られる健康効果は?管理栄養士が解説
「みかんの白いスジは栄養があるから取らない方が良い。」と聞いたことはありませんか?なんとなく栄養があることは知りつつも、どのような健康効果があるのか知らない方も多いのではないでしょうか。この記事ではみかんの白いスジの正体とその健康効果について管理栄養士が解説します。 〈写真〉【みかんのスジ】食べないと損?食べると得られる健康効果は? ■白いスジの正体は何? みかんの白いスジの正体は栄養や水を運ぶための維管束です。このスジにはペクチンとヘスペリジンという栄養成分が多く含まれています。みかんのスジは取らないで食べた方が良いと言われるのはこの2つの栄養成分が高い健康効果を持つためです。 ■「ペクチン」と「ヘスペリジン」の健康効果は? ペクチンは水溶性の食物繊維の一種です。スジにはみかんの果実よりも4倍以上多くペクチンが含まれると言われています。ヘスペリジンはビタミンと似た性質を持つことからビタミン様物質と呼ばれる成分に分類され、ビタミンPとも呼ばれます。ヘスペリジンもみかんの果実から外皮まであらゆる部分に含まれますが、スジに最も多く含まれています。果実と比較するとその含有量に40倍も差があるため、スジをきれいに取ってしまうと健康効果が激減してしまいます。 ■■ペクチンの効果 ・コレステロールを下げる ペクチンは体内で食物中のコレステロールが吸収されるのを防ぎ、コレステロール値を下げる働きがあります。コレステロール値の上昇は動脈硬化などの大きな病気に繋がる危険があるのでコレステロール値を管理することで大きな病気の予防に繋がります。 ■■ヘスペリジンの効果 ・冷え改善 ヘスペリジンは血管中の一酸化窒素の分解を防ぎます。一酸化窒素は血管を緩める働きがあるので、これにより血流が改善します。またヘスペリジンによって副交感神経も優位になるため身体がリラックスモードになり、2種類の働きで血管が拡張し血流改善に効果があると言われています。血流が改善すると体温の上昇を促し、冷えの改善に効果があります。寒い季節にみかんを食べるのは理に叶っていることなのかもしれませんね。 ・ビタミンCの吸収を助ける ビタミンCは酸化防止作用、コラーゲンの生成や鉄の吸収の促進、免疫機能が正常に働くためのサポートなど働きは多岐に渡ります。ビタミンCはみかんの代表的な栄養素ですが、ビタミンC自体が酸化しやすく不安定な物質です。酸化するとビタミンCとしての還元力を持たず、抗酸化力を果たしません。しかしヘスペリジンはこの酸化したビタミンCを還元型ビタミンCに戻し、人間の身体に有効なビタミンCの状態を維持します。 ■より健康効果を高めるみかんの食べ方は? ■■青いみかんを選ぶ ヘスペリジンは青いみかんに更に多く含まれます。みかんが熟すにつれて含有量が減ってしまうので、ヘスペリジンをしっかりと摂るなら青く熟しきっていないみかんを選んでみましょう。 ■■焼いて食べる みかんの皮もヘスペリジンを多く含みます。また果実よりもビタミンCを多く含み、リラックス効果のあるリモネンという香り成分も豊富です。よく洗って丸ごと焼くと酸味が和らぎ甘味が増してジューシーに。皮も柔らかくなり食べやすくなります。トースターやフライパンで焦げ目がつくまで10分ほど焼いてみましょう。 〈参考文献〉 その調理、9割の栄養捨ててます!|世界文化社 みかんの皮をむくと白い筋があるが、これは何ですか。:農林水産省 (maff.go.jp) αGヘスペリジン|みかん由来|グリコ公式通販|いきいきめぐる毎日に – グリコダイレクトショップ (glico.com) 柑橘ポリフェノール ヘスペリジン | 伊藤園 (hesperidin-i.jp) ライター/田中ひろか(管理栄養士)
田中ひろか