秋サケ生筋子が記録的高値 不漁、輸入卵も品薄 ふるさと納税返礼品のイクラにも影響?
秋サケの生筋子が記録的高値となり、年末年始の需要期に向けてイクラの価格も高騰している。例年、需要が伸びる10月の札幌市中央卸売市場の生筋子の平均取引価格(1キロ当たり)は前年同月の2倍となる8291円に達し、同市場が公表する2000年以降の同月比で最高値だった。海水温上昇の影響による秋サケ定置網漁の不漁に加え、海外でもサケ・マスの水揚げが減って輸入卵も品薄となったことが要因。定置網漁は終盤で、イクラをふるさと納税の返礼品にする自治体関係者も気をもんでいる。 【動画】北海道内各地で雪 美深26センチ積雪 札幌でササラ電車初出動 「少しでも安く買うため、店を回って探している」。今月上旬、札幌市豊平区の看護師島田昌子さん(39)は生筋子を求めて札幌市内の格安スーパーを訪れた。大手スーパーなどの多くで、昨年は100グラム1000円以下だったが、今年は1200~1600円が中心。島田さんはこの店で1058円で売られているのを見つけ、笑顔で手に取った。 観光客でにぎわう同市の二条市場では生筋子が約1500円で、各店舗が作るイクラしょうゆ漬けは約2千円。「能登水産」を営む能登利夫さん(75)は「去年に比べ生筋子は5割、イクラは3割ほど高い。これほどの値段を付けることは今までなかった」と、値上げによる買い控えを警戒する。
北海道によると、11月10日時点の秋サケ漁獲数は1525万匹。直近で漁獲が少なかった19年の1477万匹と同水準で、道内の水産関係者は「イクラの需要に対して、生筋子の供給がまったく足りていない」と話す。生筋子は、23年は前年の豊漁で冷凍在庫が増えたため安く出回ったが、00年以降は上昇基調が続いていた。今年10月の札幌市中央卸売市場の平均取引価格(1キロ当たり)は、最も安かった03年(1521円)の5.4倍に達する。 今年は世界的な不漁で海外産の確保が難しくなっていることも、価格高騰に拍車を掛ける。財務省の貿易統計によると、サケ・マスが主体とされる「その他冷凍卵」の9月の輸入量は前年同月と比べて53%減と落ち込んだ。道内の水産卸会社などによると、日本のイクラ消費量は近年、国産が3~4割、輸入卵が6~7割を占めており、輸入卵の減少は需給バランスに直結する。