〔海外〕2024年9月の災害を振り返る
2024年9月に発生した海外での大規模な災害、事故・事件の案件について振り返ります。 ※被害の内訳については、原則的にレスキューナウによる情報取りまとめ時のものです。それぞれの記事の最終更新日以降の状況については反映されていないことがあります。 ●9月 【自然災害】台風11号の影響で中国・東南アジア各国で被害多数 [被害]死者699人 行方不明者156人 台風11号「ヤギ」は、9月1日にフィリピンの東の海上で発生し、4日ごろからフィリピン、中国南部を通過して7日にベトナムを直撃した。8日にベトナムで熱帯低気圧に変わったが、その間、大雨により中国や東南アジア各国で多くの被害をもたらした。 ミャンマーでは首都のネピドーやマンダレー、シャン州など広域で洪水や土砂崩れが起き、384人が死亡し、89人が行方不明となった。 ベトナムではラオカイ省を中心に洪水や土砂崩れが起き281人が死亡し、67人が行方不明となっている。首都のハノイでは紅河が氾濫し道路が冠水したため数千人が避難した。 また、フィリピンでは20人、タイでは10人、中国では4人が死亡した。 人的被害のみならず、電気網や道路などのインフラが破壊されるなど物的被害も多数発生した。 ベトナムは、多国籍企業の事業拠点を数多く抱えており、工場の多くが操業不能になったため、世界的な製品供給網にも影響が出ることが懸念される状況となった。 【安全保障】レバノンで通信機器の爆発や大規模な空爆が相次ぐ ヒズボラの最高指導者死亡 [被害]死者1000人以上 負傷者数1000人以上 2024年9月中旬以降、レバノンでは通信機器の一斉爆発やイスラエル軍による大規模な空爆が相次いで発生し、市民を含め死傷者は数千人規模にのぼった。 9月17日、レバノンの首都ベイルート郊外などで、レバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラの戦闘員が使用するポケットベルが一斉に爆発し、子どもを含む12人が死亡、2500人以上が負傷した。翌18日には同じくヒズボラが使用するトランシーバーが爆発し、少なくとも9人が死亡、300人以上が負傷した。一連の爆発により、駐レバノンのイラン大使も負傷した。レバノン側はイスラエルによる関与を主張しているが、イスラエル側による言及はなかった。 また、9月20日以降、イスラエル軍がレバノン南部を連日空爆し、市民を含む数百人が死亡、数千人が負傷した。27日にはベイルート南部にあるヒズボラ本部が空爆を受け、ヒズボラの指導者ナスララ師が死亡したほか、複数の幹部も殺害された。 ヒズボラ側もイスラエルに向けてミサイルやロケット弾を発射するなどして応戦し、双方の戦闘が激化しており、イスラエル軍はヒズボラの施設近隣に住む市民に対し退避を呼びかけている。また、イスラエルと世界各地を結ぶ航空便が欠航となっているほか、日本はレバノンからの邦人退避に備え、航空自衛隊の輸送機を近隣諸国に派遣した。 今回の一連の交戦による死者は2006年に起きた大規模な戦闘以降で最多となった。 【自然災害】アメリカ・フロリダ州にハリケーン上陸 死者・行方不明者多数 [被害]死者200人以上 行方不明者数百人 2024年9月26日夜(日本時間9月27日昼)、アメリカ南部フロリダ州にハリケーン「ヘリーン」が上陸した。上陸時の勢力は5つのカテゴリーの中で2番目に強い「カテゴリー4」で、上陸したハリケーンの中では14番目に強力なものだった。上陸後はジョージア州へと移動し、熱帯低気圧となったが、その後も各地に豪雨をもたらし、ハリケーンが通過した2州のほか、ノースカロライナ州、サウスカロライナ州、テネシー州、バージニア州にも被害をもたらした。 ライフラインでは停電軒数が27日には400万軒を超えたほか、10月1日の段階でも200万軒で停電が続いている。人的被害では、山間部で25日から27日にかけて総雨量が600mmを超えたノースカロライナ州で大きな被害となっており、各地で土砂崩れ、洪水が発生。10月2日までに95人の死亡が確認された。被害のあった各州を合計すると、10月3日までに死者は200人を超えており、死者数は2005年に大きな被害をもたらしたハリケーン「カトリーナ」に次ぐ死者数となった。しかし、依然として行方不明者も数百人いるとみられ、今後もさらに死者数が増える可能性があるとみられる。
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