社説:自転車罰則強化 通話も飲酒も危険行為
「少しくらいなら」との気の緩みが重大事故につながることを改めて認識し、ルールを順守した運転を心がけたい。 今月から改正道交法が施行され、自転車走行中の携帯電話・スマートフォン使用(ながら運転)と酒気帯び運転が厳罰化された。 走行しながらスマホで通話したり、画面を注視したりした場合は、6月以下の懲役または10万円以下の罰金となる。事故を起こすなど危険を生じさせた場合は、1年以下の懲役または30万円以下の罰金が科せられる。 背景には、ながら運転による事故の増加がある。今年上半期での死亡・重傷事故は18件と前年同期比約2・3倍で、統計が残る2007年以降、最多となった。 19~23年の死亡・重傷者は19歳以下が5割を占め、次いで20代が約2割と、若い世代が多い。 京都府内でも過去5年間で事故が11件、滋賀県内で6件あった。 自転車は道交法上、軽車両である。SNSや動画、地図の閲覧、ゲームをしながらの運転で前方確認や注意を怠ることは、危険行為にほかならない。被害者にも加害者にもなり、取り返しがつかない重い代償を招く。 酒気帯び運転の罰則も新設し、3年以下の懲役か50万円以下の罰金とした。自転車に乗る人に酒類を提供したり、飲酒した人に自転車を貸したりしても処罰対象となる。飲食店側も注意しなくてはならない。 飲酒運転は以前から禁止されていたが、罰則対象は正常な運転ができない状態の「酒酔い運転」だけだった。 施行後、京都や滋賀をはじめ、各地で酒気帯び運転の摘発が相次いだ。年末年始に向け、飲酒の機会が増える時期となる。周知徹底が欠かせない。 自転車運転への取り締まりは今後、さらに強化される。 信号無視や指定場所での一時不停止など、113の違反行為を対象に反則金を科す交通反則切符(青切符)制度が、26年春ごろまでに導入される。 自転車は手軽な乗り物だが、免許不要のため、十分にルールを知らない人も少なくない。学校や職場、地域で事故事例やルール改正の内容を学ぶ機会を増やしたい。 一方、車道に整備された自転車専用レーン上に車が止められ、避けようと車道にはみ出すことで危険なケースもある。安全で快適な道路環境づくりと交通ルール、マナーを広げていきたい。