1800年前のローマ軍が鎖帷子をリサイクル! 最新調査で資源を「工夫してやりくり」した痕跡
チェコとドイツの研究者たちによる調査で、ローマ軍の兵士たちは鎖帷子(くさりかたびら)をリサイクルしながら使っていたことが分かったと12月10日、学術誌『Antiquity』で発表された。 【写真】調査に使われた鎖帷子の塊 アートネットが伝えるところによると、調査に使われたのは、2012年にドイツのボンにあるローマ帝国時代の要塞、ボナ付近の集落跡から見つかった約13キログラムの鎖帷子の塊。同時代のものとしては最大級の発見で、現在はボン市内の博物館、LVR Landes Museumに保管されている。 研究者たちが鎖帷子の塊をX線とCTスキャンで撮影したところ、鎖のリングのサイズの違いから、4種の鎖帷子で構成されていることが判明した。そのうち2種は完全な形で、ほか2種は破片。それらは丸めてまとめられていた。鎖帷子には袖が付いており、現代のTシャツに似たデザインであることから、西暦2世紀から3世紀の間に使われていた可能性が高いという。 これらの調査結果から研究者たちは、ローマ帝国の北部にいた兵士たちは破損するなどして使用できなくなった鎖帷子を集落の工房にストックし、職人がそれを修理に使っていたと考えている。集落は3世紀半ばに放棄され、運ぶには重すぎるため鎖帷子の塊は取り残された。 ローマ帝国はその長い歴史の中で、大ブリテン島を含む地中海世界全域を支配するまでに勢力を拡大した。ローマ軍兵士が同じくドイツのライン川下流域に駐留していた場所では、金属が大量に含まれた廃棄物が見つかっており、金属の供給が十分であったことを示している。だが時が経つにつれ、廃棄物は徐々に減少していった。その理由について論文は、「経済的な必要性というよりも、むしろ工夫してやりくりするという本質的な姿勢を浮き彫りにしている」と結論付けている。