性別適格騒動のケリフが66キロ級決勝進出! 金メダル目前の快進撃に米紙も激賞「馬鹿げた物語に終止符を打つ」【パリ五輪】
悲願の金メダルにあと一歩のところまで駆け上がった。 現地時間8月6日、パリ五輪のボクシング女子66キロ級準決勝が行われ、性別適格騒動の渦中にあるイマネ・ケリフ(アルジェリア)は、ジャンジャエム・スワンナペン(タイ)に5-0の判定勝ちを収めて決勝に進出。銀メダル以上を確定させた。 【画像】エアコンなしの質素なデザイン? パリ五輪選手村の全容をチェック 笑顔の勝利だった。序盤から積極果敢にパンチを繰り出すなど主導権を握ったケリフは、終始、優勢に試合を展開。相手は昨年の女子世界選手権の同階級で銀メダリストとなった実力者だったが、最後まで反撃を許さず。決定打こそ放てなかったが、フルマークでの勝利を飾った。 昨年に国際ボクシング協会(IBA)が世界選手権前に実施した性別適格検査で不合格となったケリフ。ゆえに彼女のパリ五輪参加を巡っては、イタリアのジョルジャ・メローニ首相や米大統領選に出馬しているドナルド・トランプ氏らが批判的な言及をするなど、国際的な事態に発展している。 もっとも、国際オリンピック連盟(IOC)は、ケリフが医学的に問題ないと判断。トーマス・バッハ会長も、「どうして女性として生まれ、育てられ、競技に出場し、パスポートを持つ女性を、女性と認められないというのか」と指摘。「我々の決定は科学的な根拠に基づいたものである」とも断言し、女性としての出場資格を与えていた。 誹謗中傷も受けた。それでも、連戦連勝で勝ち上がったケリフは、試合後に「私は自分のパフォーマンスをとても誇りに思う」とコメント。周囲の喧騒をよそに勝ち上がった彼女は「私はもう決勝に集中している。ここまで達するために全力を尽くしてきたし、答えは常にリングの中にある」と殊勝に語った。 その快進撃は国際的にも大きくクローズアップされている。米紙『USA Today』は「ここ数日、おそらく彼女は感情的に大変な日々を送ってきた。だが、彼女は前に進んだ。この試合では涙などなかった。勝利を笑顔とガッツポーズで祝った」と試合後のケリフの様子をリポート。「金メダルか、銀メダルか。いずれにしろ彼女はどちらかを持ち帰ることになり、あまりに馬鹿げた物語に終止符を打った」と伝えている。 なお、現地時間8月9日にケリフは、世界選手権66キロ級覇者の楊柳(中国)と対戦する。 [文/構成:ココカラネクスト編集部]