大の里「唯一無二の力士を目指し、相撲道に精進します」落ち着いて口上…『大鵬超え』の超異例ちょんまげ大関が新たなスタート
大相撲秋場所で2度目の優勝を果たした関脇大の里(24)=二所ノ関=が25日、大関昇進を果たした。日本相撲協会が同日、東京・両国国技館で行われた九州場所の番付編成会議と臨時理事会で決定。新入幕から所要5場所と「昭和の大横綱」大鵬の6場所を上回り、年6場所となった1958年以降で最速昇進を果たした大の里は、まだ大銀杏(おおいちょう)を結えない。超異例のちょんまげ大関として、新たなスタートを切った。 茨城県阿見町市の二所ノ関部屋での昇進伝達式で大の里は、師匠の二所ノ関親方(元横綱稀勢の里)と協会の使者を迎えて「謹んで申し上げます。大関の地位をけがさぬよう、唯一無二の力士を目指し、相撲道に精進します。本日はありがとうございました」。落ち着いて口上を述べ、決意を示した。 秋場所では、関脇の初日からの連勝で師匠や大鵬、北の湖ら後の横綱を上回る11連勝。1度も先頭を譲らず、2度目の賜杯を手にした。初優勝した夏場所の12勝、名古屋場所での9勝と合わせ、大関昇進の目安とされる「三役での直近3場所計33勝」を上回る34勝を挙げた。 新大関誕生は、今年初場所後の琴ノ若(現・琴桜)以来で、令和に入って8人目。石川県出身の大関は昭和以降3人目で輪島、1999年名古屋場所後の出島(現・大鳴戸親方)以来、25年ぶりとなった。 大の里は、優勝を決めた秋場所14日目の21日、奥能登が豪雨に見舞われたことを当日朝に知って「絶対にきょう、勝って優勝を決めたい。僕の話題で元気づけられたら」と土俵に上がり、有言実行。郷土愛も力に、番付の頂点へ駆け出す。 ◇大の里泰輝(おおのさと・だいき) 本名は中村泰輝。2000年6月7日生まれ、石川県津幡町出身の24歳。津幡小1年で「津幡町少年相撲教室」で相撲を始めた。中1から新潟県へ相撲留学し、糸魚川市能生中、海洋高(同市)を経て日体大でアマチュア13冠の実績を残し、二所ノ関部屋に入門した。しこ名は昭和初期に活躍して「相撲の神様」の異名を取った元大関大ノ里にちなんでいる。昨年夏場所で幕下15枚目付け出しで初土俵。同年秋場所で新十両。今年初場所で新入幕。夏場所で新小結、名古屋場所で新関脇。優勝2回。三賞は殊勲賞、技能賞、敢闘賞のいずれも2回。得意は突き、押し、右四つ、寄り。192センチ、182キロ。
中日スポーツ