尹大統領の出国禁止 内乱容疑で史上初の捜査 戒厳令巡り・韓国
【ソウル時事】韓国法務省は9日、尹錫悦大統領に対する出国禁止措置を決めた。 政府高官らの不正を捜査する機関「高位公職者犯罪捜査庁(公捜庁)」が措置を同省に申請した。公捜庁などは非常戒厳を3日に宣言した尹氏について内乱容疑などで捜査している。 現職大統領の内乱容疑捜査は史上初めて。憲法は、大統領が在職中に訴追されない「不訴追特権」を定めるが、例外として「内乱または外患の罪を犯した場合」を明記している。捜査機関が今後、尹氏の逮捕に踏み切るかが焦点になる。 警察は8日、尹氏の側近だった金龍顕前国防相の関係先の国防相執務室や官舎、自宅を家宅捜索した。金氏は同日、検察に出頭し緊急逮捕された。聯合ニュースによると、検察は9日、金氏が「尹氏と共謀した疑いがある」として逮捕状を請求した。 警察の特別捜査団長は9日、記者会見を開き、「聖域なく法と原則に従い徹底的に捜査する」と表明。尹氏や金氏、李祥敏前行政安全相、戒厳司令官を担った朴安洙陸軍参謀総長ら11人の刑事告発を受理し、150人体制で捜査する。 3機関が捜査の速度を競い、主導権争いの様相を呈す。ただ、確保すべき証拠が各機関に分散する懸念も指摘されている。公捜庁は警察と検察に捜査を移管するよう要請したが、両機関は応じていない。