“過失運転”から“危険運転”へ 相次いだ訴因変更 遺族のこれまでの戦いと裁判への思い
■法務省では検討会が報告書をまとめる 法改正なども検討へ
危険運転致死傷罪をめぐっては、これまでにも法定速度を大幅に超えた速度での事故や飲酒運転による死傷事故でも適用のハードルが高いとして、要件の見直しを求める声があがっていた。 全国各地で訴因変更を求める署名活動が行われるなど、その動きは年々活発化しているといえる。 こうした中、法務省は危険運転致死傷罪の適用要件の見直しについて、2024年11月まで検討会を行い議論を進めてきた。とりまとめられた報告書では「危険運転」を適用する基準として例えば、高速度については数値基準を道路の最高速度の「2倍」や「1.5倍」とすることが考えられるとしている。 今後、法務省では報告書の内容を踏まえ、法改正の必要性などについてさらなる検討が進められていくことになる。 一匡さんの妻・多恵子さん 「交通事故でも死亡事故であれば一度は危険運転を疑った捜査をしてほしい。遺族側から見てみれば過失という言葉にすごく抵抗がある。交通事故であろうと、殺人であろうと亡くなっていることには変わりはない」
■「危険運転は前提」2025年以降行われる裁判に向けた今の思い
宇都宮の追突事故の裁判については、いまだ再開の日程は決まっていない。 多恵子さんは裁判が始まるまでの期間、“元気でいなければ”と、事故後に不調が続いた体や気持ちを整え、本来の自分・生活を取り戻していく時間にあてているという。 ただ、事故からおよそ2年となるいまも、石田被告やその家族からの謝罪は一度もない。法廷で石田被告の顔を見ると冷静になれないかもしれないと、不安に感じることもあるという。 一匡さんは戻ってこない。そして、家族の時間も止まったまま。 知りたいのは事故がなぜ起きたのかという真実だ。 一匡さんの妻・多恵子さん 「私としては危険運転(と認められた判決)となるのは前提」「遺族の気持ちと裁判の在り方は何となく理解していて(刑の)相場があるかもしれないけど最高刑を求めます」「若いんだからとか未来があるからとかそういうことではなく事実は事実はとして受け止めてもらわないと何の抑止にもならないので裁判所にはきちんとした結果を求め続けたいと思います」