巨人時代はファンのヤジに…大田泰示が引退、名門で苦悩するも球界に“足跡”残した男のキャリア
「タイシの一番の良さは明るさで、そこはゴジ(松井氏)よりも上だった。調子が悪くてもファン、関係者に笑顔を絶やすことはない。スタンドからのヤジが執拗だったのもあるが言い返したのに驚いた。結果が出ないことでストレスは相当たまっていたと思う」(巨人関係者) 巨人ではメンタルの面でもかなりの負担があったようだが、それから解き放たれたのか2016年のオフにトレードで移籍した日本ハムではレギュラーとして活躍。2019年には132試合に出場して打率.289(557打数161安打)、20本塁打、77打点とキャリアベストの成績を残し、加入後から4年連続で2ケタ本塁打をマークした。また、明るい性格はチームメイトはもちろん、ファンからも愛された。 「日本ハム移籍前後から徹底した肉体改造に取り組んだことで体型が明らかに変化した。巨人時代に背負った多くのものから解放され、メジャー挑戦も本気で考えていた時期もあった。後先を考えない激しいプレーにシフトチェンジしたのもそういった背景からではないか」(大田を高校時代から知るスポーツライター) 日本ハム移籍後は「自分のスタイルでやって結果が出なければ辞めるだけのこと」と引退会見で語ったように開き直れたことがブレイクに繋がった。しかし、全力プレーは怪我のリスクも伴い、日本ハムでは2019年をピークに成績が下降。76試合の出場で打率.204にとどまった2021年のオフにはノンテンダー(実質上の戦力外)となった。 その後はDeNAに移籍。加入1年目の2022年には62試合の出場ながらまずまずの成績を残したが、3年間の在籍中は怪我も多く思ったようなパフォーマンスを見せることはできなかった。今季はプロ入り後初の一軍出場なし。10月5日のファーム日本選手権(対ソフトバンク)ではいつも通りの全力プレーで優勝に貢献。試合後にはチームメートからの胴上げを拒否して、「僕はまだ現役をやるので、まだ早いです」と答えたが、この試合が現役としてプレーする最後の姿になってしまった。