金融とITの融合「フィンテック」って何? どんなサービスが生まれてるの?
フィンテックの広がりで世の中にどんな影響が?
金融業界の「産業革命」と称されるフィンテックですが、その普及が進むと、既存の金融機関が手掛けるビジネスを侵食するとの見方があります。 国内大手3行は近年、フィンテックをサービスに生かすための取り組みを本格化させました。三菱東京UFJ銀行は2013年に米シリコンバレーにイノベーションセンターを設置し、社員を常駐させています。 三井住友銀行も15年10月、フィンテックの開発を手掛ける専門部署を立ち上げました。 みずほ銀行は同年10月から、コンピューターが資産運用の助言を行う「ロボ・アドバイザー」を使ったサービスを、メガバンクで初めて提供しています。 地銀でも、静岡銀行はSBIホールディングスと共に、家計簿や会計ソフトのITベンチャーと提携したり 、千葉銀行 もビッグデータ分析を手掛ける企業と初協業したりと、従来のビジネスモデルを打破し、フィンテックに活路を見出す動きが活発化しています。 新たなサービスの誕生に期待が高まるフィンテックですが、懸念点もあります。ネットを介するため、常にサイバー攻撃のリスクが付きまといます。預金口座の個人情報がネット上に流出したり悪用されたりしないよう、より強固なセキュリティ対策は重要な課題です。
日本国内での動き
コンサルティング大手、アクセンチュアの調査によれば、14年のフィンテック関連企業への投資額は世界で約122億ドル。 13年の40.5億ドルと比べると、3倍に達しました。日本国内に目を向けると、14年のフィンテックへの投資額は約5,440万ドル。この投資額にも表れているように、フィンテックが欧米で急成長を遂げる一方、日本は「周回遅れ」とやゆされるほど遅れを取っています。 このような状況を受け、日本政府は本格的にフィンテック関連サービスを後押しし始めました。金融庁は15年9月15日、決済に関する金融審議会を開き、フィンテック普及を見越した新たな法整備の必要性を議論。現行法では、銀行の持ち株会社が傘下にできる子会社は金融業務に限定されていますが、これを緩和することでIT企業への出資や電子モールの運営が可能になる見通しです。また、現在法規制の対象外である仮想通貨取引については、利用者保護を目的に現金と交換できる取引所を免許制や登録制にする対応が検討されています。 また、経済産業省は同年10月にフィンテック研究会を開催し、今年度内にフィンテックに関する調査を実施すると発表しています。 時間や場所の制約がなく、手軽に金融サービスを受けられるのは、消費者にとって大きなメリットがあるでしょう。フィンテックによって、より便利な金融サービスが普及すれば、いずれ財布を持ち必要がなくなる……、なんて未来が訪れるかもしれません。 (南澤悠佳/ノオト)