福島第1原発デブリ取り出し延期 東電社長「管理不十分」 経産相へ再発防止策報告
東京電力の小早川智明社長は4日、斎藤健経済産業相と面会し福島第1原発2号機からの溶融核燃料(デブリ)取り出し着手が延期となった原因と再発防止策を報告した。小早川氏は「東電の作業管理や確認体制が不十分だった」とし、廃炉作業の工程全般を精査する考えを示した。着手時期は「再発防止体制を整えた上で早期に再開したい」と明言を避けた。東電は5日に記者会見し、詳細な原因や作業の見通しなどについて説明する予定。 小早川氏は、現場が高線量で重装備が必要な厳しい環境下であり、東電を含めた準備作業の手順確認が十分ではなかったとした。斎藤経産相は準備作業を含めた細部に至るまで東電が確認する必要性を指摘し「これまでの認識と行動を徹底的に改め、東電の廃炉作業の安全性や遂行能力に地元や国内外に不安を抱かせることのないよう求めたい」と注文した。 小早川氏は会談後、報道陣の取材に「準備作業で社員の立ち会い確認ができていなかった」とし、管理体制の不備を認めた。その上で「福島第1原発は放射線量の高い過酷な現場だと再認識し、事前準備の確認や訓練を徹底していく必要がある」と述べた。
着手に向けた準備作業は8月22日に始めた。当日になってデブリを取り出す装置を押し込むパイプの並び順が誤っていることに協力企業の作業員が気付いた。7月末に現場にパイプを設置した時から、順番を間違えていたとみられる。 東電は5日、福島県や原発の立地自治体などに対して今回の事案の原因や再発防止策について説明する方針。