修復が完了した三山電車の木造車両＝西川町睦合

　かつて寒河江と西川を結んだ鉄道路線・旧山形交通三山線の木造車両で、西川町の「月山の酒蔵資料館」敷地内に展示されている「モハ103」の修繕が完了した。大正、昭和を駆け抜けた前後二軸の車両が残る事例は全国でも珍しい。19日に現地で完了を祝う式典が行われ、当時の姿を取り戻した車両を、地元保存会関係者らが喜んだ。 　モハ103は1926（大正15）年、三山線の第1号車両として製造され、住民や出羽三山参詣者の足として活躍。1974（昭和49）年の路線廃止後、76年から展示されている。近年は雪の重みで屋根が陥没し、防風ネットを設置するなど対応に苦慮していた。 　修繕は三山電車保存会（古沢勝広会長）を中心に実施。全国の鉄道ファンらの協力もあり、クラウドファンディングで約1500万円が集まった。施工は町内の建築業者が担当した。 　式典には関係者約20人が参加。古沢会長は「三山電車がよみがえったようでわくわくしている。次の100年に向けて車両を後世につなぎたい」、車両の現役当時を知る元車掌の柴田庄一さん（80）＝同町睦合＝は「当時の雰囲気に戻った。素晴らしい出来栄え」と話した。この日は特別に内部の見学も行われた。

　車両は外部を見学可能。今後、所有者の設楽酒造店が町に寄付する計画。