【どうして飼い猫を手放してしまうの?】「動物を飼うときにまず必要なのは、"物理的に準備"をすること。"愛"はその後でいい」~『たまさんちのホゴネコ』著者インタビュー~
SNSで大きな話題を呼んでいる『たまさんちのホゴネコ』は、保護活動者「たまさん」と、様々な猫たちの関係を涙と笑いで描くコミックエッセイ。 【写真】「わぁ、可愛い!」たまさんが保護し、すくすくと育っている6匹の猫たち ややもすれば悲壮感や暗さで語られがちなイメージの動物の保護活動。最近では「保護猫」「保護犬」の存在はメディアでも取り上げられるようになり、言葉自体は耳にしたことがある人もいると思いますが、その実際を知っている人は必ずしも多くはないかもしれません。 今回は同書籍の著者で、数匹もの犬猫の保護に関わってきた「たまさん」にインタビュー。彼女が日々感じている保護活動の楽しさと喜び、そして動物を愛する人、「保護猫、保護犬を飼ってみたい」と考えている人たちに伝えたいこととは? ***** ──どういう経緯で保護活動をするようになったんですか? もともと犬と猫が好きで、自分が何かできることはないかなとは思っていて……。 高校卒業後、専門学校へ通っていたときにある保護施設と出会い、職員として勤務しました。その後、個人で保護活動を行いながら、生体販売の実状を知るためにブリーダーへ転職。ブリーダーの後には動物病院で5年働きました。昨年そこを辞めてからは個人で保護活動をやっています。 保護活動をやろう! と思って始めたというよりは、それ以前から「子猫が捨てられているんだけど、来てもらえますか?」「いいですよ」というようなことをやっていて、それがだんだんと増えていった感じです。
──エッセイでは、足湯の近くに捨てられていた「足湯さん」のように、一般の人からの連絡で動いたりもしていましたね。 「足湯さん」は、見つけた人が近くで犬猫を扱っている人を探してドッグトレーナーさんに行き着き、横のつながりで連絡をもらいました。多くの人が最初に繋がるのは保護団体ですが、動物病院から繋がることも。インスタで連絡を受けて、余裕があれば出向いて引き取るケースもあります。 ──保護活動者が引き取った後、動物はどうなるんですか? 病院で健康状態をチェックし、必要ならば治療や避妊手術をします。その後、犬の場合は(1)里親を探す (2)そのまま飼う、の2パターンです。 猫の場合のみ(3)「地域猫」としてリリースする(TNR)というパターンがありますが、感染症や交通事故やカラスなどの外敵の多さや縄張り争いなど、外で暮らす猫達を待っているのは過酷な生存競争です。 一般的な猫の平均寿命が15歳以上であるのに比べて、野良猫の平均寿命は4~5歳だと言われています。 できることなら、全ての猫を安全な室内でお世話できるようにしてあげるのがベストなのですが、野良猫大国である日本では、全ての猫に里親さんを見つけてあげることは厳しい現状です。猫の繁殖力は脅威なので、次から次へと子猫が生まれています。しかし、野良猫の子猫で成猫になれる確率はたった2割。 不幸な運命を辿る猫が少しでも減るように、リリースをして、地域猫として地域の方みんなで見守っていく……。それがリリースで重要なところだと思います。 ※TNR=捕獲器などで野良猫を捕獲(Trap)し、不妊・去勢手術(Neuter)を行い、元の場所に戻す(Return)ことです。 ──今はご自宅にどのくらいの犬猫がいるんですか? 猫が6匹、犬が6匹です。 もちろん無理して飼っているわけでも、野良猫すべてを連れてきているわけでもないんですよ。「足湯ちゃん」も来た頃はすごく“シャーシャー”だったんですが、単純に「私が世話しないとこの子生きていけないよね」という感覚です。私が「人を信じさせてあげるんだ!」みたいな大層な思いは全然なく、ただの“変態レベルの動物好き”というだけです。