アマゾン従業員の生活苦、調査で浮き彫りに-食事抜きや住まいの不安
(ブルームバーグ): アマゾン・ドット・コムが時給を15ドル(約2300円)に上げてから5年になる。ある全米規模の調査に応じた倉庫労働者の半数は、食費や住む場所の確保に苦労していることが明らかになった。
イリノイ大学シカゴ校都市経済開発センターは全米42州で1484社を調査。15日に発表した報告では、食事を抜いたり空腹を我慢したりすることがあるか、家賃や住宅ローンの支払いに不安があるかなど、米国の従業員に経済的な豊かさについて尋ねたものだ。
53%が過去3カ月間に少なくとも1タイプの食料不安を、48%が少なくとも1タイプの住居不安を経験したと答えた。仕事中にけがをして無給で休んだと答えた労働者の間で、支払いに困っているとの回答確率が高いこともわかった。
このリポートをベス・グテリウス氏と共同執筆したサンジェイ・ピント氏は「何もアマゾンが突出しているということではない」と話す。しかし「家庭を維持できる職を創るという点で、同社がリーダーではないのは確かだ」と述べた。
アマゾンは調査結果の内容についてコメントしていない。ただ国際非政府組織(NGO))のオックスファムが同じ調査に基づいてまとめた職場監視に関する報告に関し、同社が発表した反論を引用した。これによれば、この調査は回答者が実際にアマゾンで働いていることを証明できておらず、また調査期間が長かったため「極めてネガティブな経験」をした人だけが時間を割いて回答した可能性が高い、などと反論している。
アマゾンは長い間、従業員、特に倉庫で箱詰めや出荷作業に携わる従業員の待遇について批判されてきた。批判の多くは、物流業界の同業他社を上回る割合で発生するけがに集中している。アマゾンは反復動作が必要な作業の自動化などで、倉庫の安全性を高めると約束している。ピント氏とグテリウス氏は今回の経済状況に焦点を絞った調査の前に、昨年10月にはアマゾン従業員のけがについて調査結果を発表している。