戸田和幸氏「日本はメキシコやチリを目指すべき」
決勝トーナメントの戦いが繰り広げられているサッカーのワールドカップ(W杯)ブラジル大会。残念ながら日本はその舞台にはいない。攻撃的なサッカーを掲げながら、W杯という大舞台で「自分たちのサッカー」を十分には発揮できないまま、グループリーグで敗退してしまった。日本はこれからどんなサッカーを目指して、どう戦うべきなのか。トルシエ・ジャパンでボランチを務めた元日本代表の戸田和幸氏に聞いた。
日本代表が目指すべきサッカーについて、戸田氏はメキシコやチリのようなチームを参考にするべきだと語る。「(日本人には)アフリカのようなパワーとスピード、南米のような執念とずるがしこさ、ヨーロッパのようなサイズもパワーも歴史もない」。それは身体的な特性で考えれば技術を大事にしたサッカーだという。 メキシコのカメルーン戦での1点目を例に挙げ、「縦パスが入ったときに、受け手ではない選手が1、2人が既に動き始めている。次の展開を予測して動いている人がいるのがメキシコやチリ。狭い空間でもできる技術力とスピードがある」と解説。こうした連動した攻撃は日本も参考にできるという。動き出しが早くてプレスがかけられる一方、ボールも大事にできるので常にハイスピードでやり続けなくても済むこともメリットと語る。 こうしたサッカーはスペインも実現していたが、日本はメキシコやチリを参考にするべきだという。チリにはサンチェスやビダルがいるが、メキシコに関しては世界的な選手があまりいない中で、チームとして走って戦える部分を評価する。また、海外のビッグクラブに所属する選手が増えているが、「みんなが日本人の中でできる(代表の)サッカーと、マンUやインテルなどのように身体的に高くて強い選手がいる中でできるサッカーは違う」とも指摘。例えばギリシャ戦のようにハイクロスを上げる戦い方は日本人には合わないとの見方を示した。 自身が小学生を指導していることもあり、育成についても言及した。「育成年代の指導者も含めて、サッカーの理解度を深めるべき。大人が与えすぎている。やるサッカーではなくてやらされるサッカーになっている。子どもたちがピッチの中で気づいていける場面を先に取ってしまっている」。サッカーは自由度が高いスポーツなので、ある程度は選手たちに委ねて学ばせていかないといけないと語った。