上手くて戦う集団に。トップの強さからも学ぶ町田ユースが都1部制覇とプリンス関東昇格へ大きな1-0勝利
[10.6 U-18東京都1部L第15節 駒澤大高 0-1 町田ユース NICHIBUN SAKURA FIELD] 町田ユースが目標達成へ大きな1勝――。6日、高円宮杯 JFA U-18サッカーリーグ2024 東京1部(T1)第15節が行われ、首位・FC町田ゼルビアユースがトップチーム昇格内定のMF真也加チュイ大夢(3年)の決勝点によって、4位・駒澤大高に1-0で勝利。首位を守った。 【写真】「昇天した」「救急車で運ばれちゃう」伊東純也のモデル顔負けショットに大反響…久保建英らも脱帽 町田ユースは2015年に東京都4部リーグ(T4)へ昇格。2019年からT1で戦っているが、リーグ優勝、プリンスリーグ関東プレーオフ(参入戦)進出を果たすことができていない。この日、勝ち点1差の駒大高との大一番を前に、中山貴夫監督から強い言葉で鼓舞された町田ユースは「前半、ちょっと飛ばしすぎかなと思うぐらい、勝とうっていう熱量はあった」と指揮官も驚くような入りを見せた。 町田ユースは立ち上がりから、ボールを保持しながら主導権を握る。10分には左の真也加が縦へ仕掛けてクロス。このこぼれをMF池田太久人(3年)が右足で狙う。18分には、MF林夏生(2年)との連係でFW原櫻太(1年)が右のポケットを突き、ラストパスがゴール前へ。だが、これは駒大高の国体東京都選抜右WB西澤航星(2年)がクリアする。 駒大高は5バックを敷き、相手選手を前方に置きながらの守り。それに対し、町田ユースは1ボランチのMF関大翔(2年)が1タッチを交えてパスをさばき、右の霜田晟那主将(3年)、左の佐藤理宇(2年)の両SBを押し出す形でビルドアップする。攻め急がず、バックパス、逆サイドへの展開を繰り返しながら、割って入る隙を狙い続けた。 だが、駒大高はDF小池俊輔(3年)や西澤らDF陣が抜け出してくる相手を捕まえたほか、前向きなインターセプトから速攻。MF内田龍伊(3年)、MF片本流良(3年)、FW岸本空(3年)の前線3人が力強い動きで攻め上がり、岸本がシュートへ持ち込んで見せる。 町田ユースも、「自分はキャプテンとしてそんな上手いって感じのキャラではないんで、声出したり、運動量で負けなかったりっていうのを意識して、身体張ってチーム鼓舞させることを意識しています」という霜田がミドルシュートにチャレンジ。前半43分には池田が右からドリブルでバイタルエリアへ切れ込み、MF武田翔琉(2年)が左前方へラストパスを送る。これに走り込んだ真也加が左足シュート。だが、枠を捉えることができない。 町田ユースは後半5分、切り替えの速さや質の高いキックを見せていたGK末永幹人(2年)のフィードで真也加が左ハイサイドを取ってクロス。これを原が1タッチで狙う。後半、町田ユースはスペースへの動きが増えた真也加とキープ力に秀でた武田、池田とのコンビネーションなどからシュートへ。全体的にアクションをする回数を増やしていたものの、なかなかスコアを動かすことができない。 一方、駒大高にとってはゲームプラン通りの戦いだった。守備の時間が続く展開を各選手が理解。我慢強く走り、戦い、町田ユースの攻撃を跳ね返し続ける。そして、MF寺尾帆高(3年)を起点としたカウンターやセットプレーなど迫力のある攻撃。後半18分に切り札のU-16日本代表FW岩井優太(2年)を投入すると、その岩井のスペースへの動きも加えて1点をもぎ取りに行った。 後半34分には、右サイドでの奪い返しから内田が決定的な右足シュート。だが、霜田が「(駒大高は)カウンターが鋭いチームっていうのはスカウティングで分かっていたので、自分たちが攻めてる中でも、相手のFWが何枚残ってるかとか、立ち位置とか把握したりっていうのを心がけていました」という町田ユースも集中した守りで得点を許さない。そして、35分に町田ユースが先制点を奪う。敵陣での奪い返しから中央の武田が左前方へラストパスを通す。そして、エースMF真也加が渾身の左足シュート。この一撃がニアを破り、1-0となった。 攻め続けて奪い取った1点に、町田ユースの選手たちが喜びを爆発する。チームはリーグの後期初戦で堀越高に1-2で敗戦。シュートを28本打ちながらも勝ち切ることができなかった。内容で勝りながらも勝ち切れないところのあったチームが、この日は焦れずに戦い続けて先制点。中山監督は「こういうゲームで、自分たちのペースじゃない時間をやり過ごすとか、チュイ(真也加)が点取ったのは成長の証とも言える」と評価していた。 駒大高は気迫溢れる動きを続けた寺尾を中心に反撃に出て、ロングスローやクロスをゴール前に入れる。だが、町田ユースはともに空中戦、競り合いで奮闘していたCB佐藤智風(2年) とCB森高優(2年)に交代出場DF西尾心(2年)を加え、最終ラインに厚みを持たせて弾き返す。逆に交代出場FW西川瑞希(2年)が武田のパスからシュートを放つなど2点目を狙い続けて1-0で勝利。貴重な勝ち点3を獲得した。 町田ユースの霜田は、「こういうプレッシャーの掛かった試合で勝ち切れるっていう経験は、チームとしてもあまりしてこなかったので、ここで勝てたっていうのは、次に凄く繋がると思う」と頷いた。メンバーには年代別日本代表がいる訳でも、身体的に特別秀でた選手がいる訳でもない。だが、各選手がボールを持つことに自信を持つと同時に、「1対1でも、身体能力を言い訳にしないで、そこは負けないっていうのは全員意識しています」(霜田)。ブレイズ熊本や熊本ユースを率いてきた中山監督就任3年目。その指導によって培ってきたこと、またJ1昇格1年目で優勝争いを繰り広げているトップチームから学んだことも表現しての勝利だった。 「(トップチームを見て、)その球際の強さとか、勝ちにこだわる部分っていうのを参考にさせてもらっています。ミーティングとかでも、トップのゴール前で身体張る守備とかは見せられて、いかにこういうところで自分たちも身体張れるかっていうのはずっと言われてきたこと」と霜田。選手たちは自身の成長のため、またクラブ、ユースチームの将来のためにも戦っている。 中山監督は「上手くさせるっていうこととか、組織的にも戦う集団にしていくっていうところはブレずにやって、また東京の子たちが『ここでやりてえな』っていう組織になっていくのが1番大事だと思う」と語る。今年は3年生が7人のみで下級生中心のメンバー構成。同じ東京のJクラブアカデミー、プレミアリーグ勢のFC東京U-18や24年プリンスリーグ関東1部で優勝した東京Vユースを追う立場であることは確かだが、チームは積み重ねてきたものを表現し、T1リーグの優勝争いをリードしている。 今年の目標はT1リーグ初優勝、プリンスリーグ関東初昇格。霜田は「(中山)貴夫さんの体制になって今年で3年目で、自分たちが1年の時から教わってるんで、やっぱりここで結果残さないといけないなって自分たちでも感じています。日頃の練習からしっかりキャプテンとしてチームをまとめながらやって、一致団結して、T1優勝して、プリンス参入戦も勝って、プリンスに上げて後輩に繋いでいきたい」。リーグ戦は残り4試合。この日の勝利も自信に、町田ユースが新たな歴史を築く。
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