全国各地で爆増する「ロピア」にも負けないスーパーの正体、従来のスーパーが切り捨ててきた「生鮮」のノウハウを強化
しかし、最近会った中部地方のマスコミの方からの質問には、ちょっとニュアンスの違う回答をした。ロピアが人気店となるのは間違いないが、そちらにも、バローがいる。最近のバローの「デスティネーション・ストア」は負けず劣らず魅力的だ、と。中部地方以外の方には馴染みが薄いと思うので、そのバローについて少し説明してみたい。 ■売上高8000億円超、中部地方屈指の小売りグループ バローホールディングスは岐阜県の多治見という山に囲まれた街から発祥し、今では食品スーパー、ドラッグストア、ホームセンター、スポーツクラブなど複数業態をチェーン展開する企業で、M&Aも実施しつつ着実に成長を続けて、2024年3月期の売上高8078億円と中部地方では屈指の小売グループとなっている。
主力事業はスーパーで、営業収益4542億円と過半を占めており、中部地方を中心に成長を続けているが、最近では大都市圏愛知県と関西地区(グラフでは、その他になっている)での勢力拡大が顕著になっている。 ただ順調に見える成長の軌跡だが、2010年代後半期には、収益率では少しずつ低下する傾向もみられた。一般的にはこうした状況になっても、さらなる拡大でなんとかしようとする企業が多い中、バローは立ち止まって基本戦略を大きく変更した。
■名古屋の超繁盛スーパーをM&A その時、生み出されたのがデスティネーション・ストア(他店を通り過ぎて来店してもらえる店の意)であり、生鮮売り場の魅力によって選んできてもらえる店を開発し、既存店をそのスタイルに変更していく、という方針だった。 それまでのバローは、店舗オペレーションの標準化を進め、自社物流で効率性を追求したインフラを整備し、プライベートブランド商品の開発にも注力して、EDLP(エブリデーロープライス)の店舗を実現する、といった展開で、チェーンストア理論の具現者というイメージでどちらかと言えば、オーソドックスな(ある意味、無機質な)スーパーだった。