株高で泣く証券会社社員、そのココロは― 投資の社内制限で〝機会損失〟…ストレスがたまるよ
【兜町地獄耳】 証券ライター ついに為替が1ドル=153円台をつけてきたな。 FX会社社員A 153円台は34年ぶりだ。「神田(真人財務官)ライン」と言われた152円をあっさりと突破してしまった。 ライター その水準になっても、政府による為替介入はみられないな。 社員A 警戒を促すなど、口先介入はしてるけどな。実弾介入しても、あまり効果がないことを分かっているのだろう。FX投資家は、為替介入を待ち望んでいる。介入した途端に、円安ポジションを建てようとしているよ。 ライター 介入しても投機的な動きによって、すぐに円安に戻ってしまうというわけか。 証券会社社員B 株式市場にとって、円安は歓迎だけどな。先日も、米国株の急落で日本株が売られたが、為替の153円台突入で息を吹き返した。あの局面で介入されていたら、日経平均で1000円安もあったかもな。 ライター 輸出企業にとっては、為替動向は無視できないからな。トヨタ自動車なんか、1円の円安で営業利益が450億円も上乗せされるそうだ。 社員B ただ、国内だけを相手にしている企業はつらいよ。原材料費などのコストアップにつながるからな。こんな状況が続けば、中小企業の賃上げが遠のいてしまう。 社員A 米国では、6月の利下げ期待が後退してしまったから、しばらくは円安が続きそうだ。 社員B ただ、円安が株式市場への追い風と言っても、肝心の米国株が利下げ期待後退で下げてしまってはどうしようもない。 ライター 利下げ期待の後退は、米国のインフレ高止まりによるものだけど、もしもトランプ氏が大統領になったら、さらにインフレが進むとの見方もある。 社員B 確かに、トランプ氏が推し進めようとしている積極的な財政出動や対中国の関税拡大などはインフレ要因になりかねないからな。 社員A 今は、株式市場ばかりが注目されているが、実はFX投資家はかなり儲かっているんだ。過去に「ミセス・ワタナベ」と呼ばれた日本の小口の個人投資家が儲けまくった相場にとても似ている。 ライター 確か2000年前後だったかな。当時は高金利通貨に投資して、円安と利息に相当するスワップポイントで稼ぎまくった個人投資家がたくさんいた。FXの利益を脱税して、摘発された主婦もいたね(笑)。