独居高齢者の割合が全国1位の豊島区、4割が暮らす賃貸の受け入れ問題。居住支援の"パイオニア9人”が解決策を提案する最前線をレポート
さらに豊島区内8カ所の区民ひろばに「コミュニティソーシャルワーカー(CSW)」と呼ばれる人たちが2名ずつ計16名常駐しています。豊島区民社会福祉協議会に属するコミュニティソーシャルワーカーは、地域福祉サポーターから寄せられた地域の異変や困りごとを関係機関と協力して解決につなげる役割を担っています。 「ほかにも民生委員さんなどが中心となって熱中症予防のための戸別訪問や高齢者実態調査をしたり、シルバー人材センターの訪問員が声かけをしたり、豊島区が行っているさまざまな見守り事業があり、ケアを必要とする人をサポートしています。ところが、これら福祉の体制があることを不動産会社は知りません。逆に福祉関係者はその人が住む部屋の大家さんが誰か、管理する不動産会社がどこかを知らないのです」 本来は福祉と住宅をつなぐために豊島区居住支援協議会が設けられているはずですが、今はまだ問題点を洗い出す段階で、具体的な情報共有までは進んでいないようです。
「もうちょっと情報共有すれば解決できることも」これからの可能性
この福祉関係者と不動産関係者の情報共有が不足しているという指摘は、第二部のパネルディスカッションでも福祉、不動産双方の登壇者から指摘がありました。モデレーターを務めた豊島区居住支援協議会副会長の露木さんは「見守りが住まいの問題とつながっているか」「情報をどうやって共有するか」「入居に懸念のある人からの相談のときに、誰につなぐといいか」と具体的な取り組みについて登壇者に投げかけます。
「『お元気かな』と高齢のかたの様子を見にいくと孤独死が見つかったり、『ぎりぎりのとき』もある。緊急事態なのに連絡先につながらず、民生委員にはそれ以上の情報がありません。周辺とのつながりや連携を取らないと対応ができないんです」(民生委員・児童委員の竹村さん) 「私たちも安否確認をして、情報がないときに民生委員さんや地域のかたに聞く時もあります。オーナーさんが代替わりされているなどで情報を追えないことも。賃貸物件の担当をされる管理会社とも連携が取れれば、万一のときにも早期発見できるのは」(豊島区社会福祉協議会の宮坂さん) 「もうちょっと情報共有すれば解決できるものもあるのではと感じた。連携できる仕組みづくりを進められれば」(豊島区高齢者福祉課高齢者事業グループの大曽根さん)