【第3回WUBS】2大会連続出場で初の4強入りを目指すペルバナス・インスティテュート(インドネシア)【リバイバル記事】【バスケ】
過去2回のWUBS(Sun Chlorella presents World University Basketball Series=世界大学バスケットボール選手権)で、インドネシア勢は着実な進歩を見せている。第1回大会のペリタハラパン大は勝ち星をつかめないままに終わったが、昨年の第2回大会では、ペルバナス・インスティテュートが5-8位決定戦でシドニー大(オーストラリア)を相手に60-56の勝利をつかんだ。そのペルバナス・インスティテュートが2年連続で出場する第3回WUBSでは、さらなる前進を期待されるべき舞台だ。 ※この記事はWUBS2024開催が発表となった今年4月に月刊バスケットボールWEBで掲載した内容です。 昨年の3試合では、上記のシドニー大との一戦以外は点差をつけられて敗れている。白鷗大との初戦が49-97。最終日の5位決定戦では東海大に48-100と圧倒され、厳しい現実を突きつけられた。しかし東海大に敗れた後、取材に応じたズルファリザルAコーチは終始笑顔で、貴重な経験が彼らの成長に必要な栄養素だったことを語っていた。 その捉え方が間違っていなかったことを、ペルバナス・インスティテュートはインドネシア国内大会で証明してみせた。大学バスケットボールにおける王座決定戦にあたるLIMA(Liga Mahasiswa)ナショナルズ2023で連覇を達成したのだ。チームに在籍する20人のプレーヤーには、昨年WUBSでプレーしたメンバーが8人含まれており、昨年のWUBSから得た教訓が生きた形だが、次なる飛躍のチャンスたる第3回WUBSではどんな成果をつかむことができるだろうか。
飛躍のカギを握るLIMA2023ファイナルMVP、グレーンズ・タンクラン
1勝2敗で終えた昨年のWUBSをもうすこし振り返ると、ペルバナス・インスティテュートは平均得点52.3が大会最少、平均失点84.3が大会最多だった。どんな要素がこの数値につながっているかと言えばターンオーバーで、敗れた2試合では合計53に上った。個々の能力も高く、かつ細部に神経を行き届かせながら40分間徹底してプレッシャーをかけ続けてくる白鷗大と東海大のディフェンスを前にして、ペルバナス・インスティテュートはボールを運ぶこと自体が非常に難しい状況だったのだ。勝利したシドニー大戦のボックススコアを見ると、この数値は12にとどめられていた。この事実からも、ターンオーバーが最大の敗因だったことは否定のしようがない。 しかし、だからと言って下を向く必要はまったくない。実は第2回WUBSで、白鷗大と東海大は平均失点最小の2チーム(白鷗大が65.7で2位、東海大が59.0で1位)。チームディフェンスにプライドを持つ2チームを相手にとにかく全力でぶつかった経験は、結果の如何によらず何物にも代えがたい価値があったはずだ。 逆にスタッツ項目の中で、ディフェンス・リバウンドには能力の高さが感じられる。敗れた2試合でも合計で48-56と8本の差しかなく、シドニー大戦では38-36と上回っていた。シドニー大は身体能力の高い200cm越えのビッグマンもいたチーム。対してペルバナス・インスティテュートは、最長身でも192cmと小柄だった。それでも、ほかの2試合で封じられた機動力を生かせたこの試合では、サイズの不利を跳ね返す強さを十分に発揮した。そんなチームがトランジションを堅実に遂行し、隙を突いてそのまま得点を狙ったり、フィジカル面の強さを生かせるハーフコートゲームに安定して持ち持ち込むことができれば勝機を見出せる。問題はそれを強度の高いWUBSの舞台で遂行できるかどうかだ。 それを可能にするためには、昨年の経験を持つ8人の活躍が欠かせない。特に、インドネシアのプロリーグIBL(Indonesian Basketball League)でもプレー(次ページ参照)して学生界とは異なるフィジカリティーやインテンシティーの高さを経験しているグレーンズ・タンクラン(PG/178cm)、フェルナンド・マナンサン(SF/190cm)、ダニエル・サラメナ(SG/188cm)、ジョーダン・オエイ(SG/183cm)らの奮起に期待がかかる。