「お前顎でかいな」心ない言葉に約10年マスクが手放せなかった“顎変形症”の女性「最終目標は顔面に囚われなくなること」
■術後はやりたいことを達成していくことに喜びも「顔面に囚われなくなることは、まだまだ無理そう」
――手術をされたことで、これまでのコンプレックスへの向き合い方に変化はありましたか。 「なにより一番はマスクをせずに外に出れるようになったことです。中学の頃から約10年間、マスクをせずに外を歩くことができませんでした。術後したいことの中に『マスクをせずに渋谷や新宿に遊びに行く』というのがあって、それを術後に達成できたときはひとりで感動していました!」 ――それはとても素敵なエピソードです! 「とはいえ、顔面に囚われなくなることは、まだまだ無理そうです。今もまだ自分のスマホの外カメを自分に向けて撮影をして、『他人から見たらこんな感じか…』とシャッターを止められなくなります。また、他の友人が写っている写真を見て、『友人の顎は短いのに、わたしは長いよな』と悩むこともあります。 でも術前と比べて死にたいと思うことが各段に減りました。術前は、悩みが直接顔と関係ないことでも、『おまけに顔もブスだし死にたい』となんでもかんでも顔に結びつけて考えていましたが、今はそれがなくなって精神的にかなり楽になりました」 ――今後、ご自身の投稿を通してどんなことを発信したい、伝えていきたいと考えますか? 「顎変形症は保険適用の手術で、美容整形のようにSNSに症例写真が出回ることはあまりありません。機能面を重視した手術ではありますが、顎の骨を動かす大掛かりな手術なので、顔の変貌もかなりあるのにも関わらず、ネット上では完全に顔出しをされた情報が少ないです。そういったわけで、顎変形症の治療を受けている患者のひとりとして、情報を発信出来たらいいなと考えています。 そもそも『顎変形症』と診断がつき、保険適用の治療ができると知っている方も少ないです。私と同じようなコンプレックスや、機能面での障害を抱えて悩んでいる方にも、私のポストから『顎変形症』を知っていただきたいです」 ――発信をしてみて、得られた気づきはありますか? 「Xを通じて私と同じようにコンプレックスを根強く持っている方は他にもたくさんいることを知れました。私もかつて同じ症状を持つ方のSNS投稿を見て、コンプレックスは改善できるかもしれない、改善したら希望があるかもしれないと勇気を貰った側の人間です。 ありがたいことに術後は、リプライやDMで『手術が不安でしたが希望を持てました』と連絡くださる方が複数いて、私も勇気をもらってこの治療を乗り越えてきたが、今度は私がこれから手術をする方、コンプレックスを持っている方に勇気を与えることができているというのが本当に嬉しいんです。私は本当に微力ではありますが、こうしてバトンを繋げていけて、一人でも顔面に対する悩みが緩和されたらいいなと願っています。 といっても私もまだまだ現在進行形でコンプレックスを解消できていません。もっと自分を肯定できるように、自分を好きなれるように、模索している最中です。同じようにコンプレックスを抱えている方とともに一緒に悩んでいきたいです。そして少しでも改善していって、最終的には顔面に囚われなくなることが目標ですかね。その過程を発信していけたらいいなと思っています」