裏金問題、安倍派幹部の処分の裏側【政治記者解説】
また、総理自らが個別聴取に乗り出しても、裏金問題についてはわかっていないことがあります。番組が収録された3月28日時点で判明しているのは、以下の4点です。 1.2022年3月に総理を退陣、派閥に戻った安倍元首相が、不記載の事態を知りキックバックを止めるよう指示をしたのが、安倍派幹部のうち、この4名 2.いったんキックバックを止めたものの、安倍氏の死去後の8月にこの4人が集まった場で何らかの意志決定があり、裏金作りが再開 3.政倫審において、4人は8月にこの「還流」の再開を決定したことを否定 4.一方、日本テレビは3月27日、元派閥会長の森喜朗元首相がこの還流復活に何らかの影響力を持っていた可能性が浮上したと報道 森元首相が「還流」再開への指示をしたという話は日本テレビ以外では出ていませんが、ネットでは拡散されています。報道が事実かどうか別に、「森さんに聞かなきゃわからないよね、という空気は醸成されている」とゲストの両名は語ります。
しかし、特捜部の捜査でも明らかにできなかったことが、政倫審で新たな証言を得られるものでしょうか。水内記者は、岸田総理自ら、森元首相に聴取を行うことが、政治パフォーマンスとして裏目になることや、疑惑が解明されないまま、処分もできない状況が続く膠着状態を懸念します。 補選を控えている島根や長崎などの自民党の若手や中堅層からは、早く処分をし、この問題にけじめをつけてほしいという意見も上がっているとのこと。 岸田総理は何をゴールにしているのか、見えなくなっています。
8段階ある自民党の処分、総選挙を前に天国か地獄かの分かれ道
自民党議員の処分内容は8段階。今回、裏金問題で取り沙汰された議員は重いほうから4番目となる「選挙での非公認」以上の処分が予想されます。しかし、この「非公認」という処分、ゲスト2名は口々に「聞いたことがない処分」と証言し、ほかの処分を受けた事例を解説します。 いちばん重い「除名処分」は、郵政解散の時に新党を立ち上げた亀井静香元衆院議員。自民党に二度と戻ってこさせないというとても厳しい処分で、選挙区には刺客候補が立てられました。 「離党勧告」は、最近では「銀座三兄弟」。コロナ禍の緊急事態宣言下に東京・銀座のクラブで深夜に飲食した、当時衆議院議員の松本純氏、大塚高司氏、田野瀬太道氏です。離党勧告は、従来では刑事処分以上に与えられるものですが、虚偽の報告があったこととコロナ禍での国民感情を反映し、重い処分となりました。 「党員資格停止」処分は、山﨑拓元衆院議員(元副総裁)。2021年の衆院選で同じ選挙区だった立憲民主党の辻本清美氏の応援をしたことが党の規律を乱したとして、1年間の党員資格停止処分を受けています。