【毎日書評】質問力を高めよ。なぜ「問う力」が人生に重要な意味を持つのか?
現代の導き手であるリーダーシップの高め方
リーダーシップを身につけるうえで、まず知っておくべきことは「エージェンシー」という概念です。エージェンシーは近年注目されている教育分野の考え方で、「変化を起こすために自分で目標を設定し、振り返り、責任をもって行動する能力」とOECD(経済協力開発機構)により定義されています。(136ページより) 環境問題や国際問題など、先行きが不透明で予測が困難な現代の状況を乗り越えていくためには、「結果を予測して目標を設定する力」や「目標実現に向けた計画立案力」、「自分が使える能力や機会を評価・振り返り、自身のモニタリングをする力」「逆境の克服力」などが不可欠だということです。 注目すべきは、組織のリーダーもこのエージェンシー能力を身につけるべきだという著者の考え方。加えて、生涯にわたって成長させていく意識を持つことも不可欠だとも述べています。つまり企業人としても一社会人としても、「環境がよりよくなるように責任を持って生きていくべき」だということ。 チームメンバー間でも、「この事業で社会、環境に貢献できることはないだろうか?」など、サステナブルな意図をもって質問することが、エンゲージメントの強化にもつながっていくわけです。(136ページより)
求められる新しいリーダー像とは
では、いま求められているのは、どのようなリーダーなのでしょうか? 著者が「いまの時代のリーダーの姿」だと感じているのは、「サーバント・リーダーシップ」なのだそうです。 サーバント・リーダーシップとは、マネジメントの研究や開発、教育に尽力したアメリカのロバート・グリーンリーフ博士が1970年に提唱した、「リーダーとなる人は、まず相手に奉仕し、そのあと、相手を導くものである」という哲学に基づくリーダーシップ論です。 日本では、「奉仕型リーダーシップ」や「支援型リーダーシップ」などとも呼ばれています。サーバント・リーダーは、チームメンバーへの奉仕や支援を通じて、周囲からの信頼を獲得します。(138~139ページより) さらには、チームをサポートしながら一緒に協力して目標へと向かう状況や環境をつくり出していくことも、サーバント・リーダーの重要な役割。チームメンバーを尊重しながらほめたり、気を使いながらチームが力を発揮できたりするようにサポートするリーダーだということです。 また、一つの現場で一人だけがリーダーというわけではなく、「それぞれが、それぞれの立場でリーダーシップを発揮できる」環境づくりが重要視されています。(139ページより) そのようなリーダー像は、とくに「失敗が許されない」危機管理が必要な現場でも求められているそう。監督者も含め、そこで働く全員が「当事者感覚」をもってリーダーシップを発揮できなければ、万一のミスに気づくことができず、安全やじん目を守ることもできなくなってしまいます。 そういう意味でも、適切な結果を出すために周囲や自分自身に問う能力が重要なのでしょう。(138ページより) 著者によれば、質問力を高めるコツは「工夫とチャレンジ」。本書を活用すれば、たとえ失敗してもリカバリーできるというので、ぜひとも参考にしてみたいところです。 >>Kindle Unlimited3カ月無料キャンペーン中【10/20まで】 Source: 総合法令出版
印南敦史