あらゆる守備能力を兼ね備えた世代屈指のセンターバック。川崎フロンターレU-18・土屋櫂大は生田のグラウンドから世界へと羽ばたいていく 【NEXT TEENS FILE.】
フィジカルレベルの基準に据えるのは、実際に肌を合わせた列強のフォワードたち。彼らがさらに成長するのであれば、自分もさらに成長しないわけにはいかない。土屋は今まで以上に高い意識を携えながら、日常のトレーニングと真摯に向き合っている。
夏のクラブユース選手権では、自らの劇的なゴールでチームを救う試合も経験した。ファイナル進出の懸かった西が丘での準決勝。アビスパ福岡U-18との一戦は後半に入って失点を喫すると、以降は何度も相手ゴールに迫るものの、なかなか得点を奪うまでには至らない。
追い込まれた最終盤。競り合いの高さと強さを生かすため、前線へとポジションを変えていた土屋は「なんか今日は『まだ追い付けるな』という自信しかなかったんです」と、その時のメンタルを振り返るが、そんな言葉を証明するかのようなシーンは、アディショナルタイムに訪れる。
80+3分。ともにU-17ワールドカップを戦った盟友の柴田翔太郎が右サイドでボールを持つと、2人のイメージは完璧に共有される。「柴田が左足で切り返した時は、『もう絶対ニアのあそこにボールが飛び込んでくる』と思いましたし、彼を信じていました」。予想通りにニアへ届いたクロス。懸命に頭で合わせたボールは、ゆっくりとゴールネットへ吸い込まれていく。
「もう感覚です!気持ちで押し込みました!」。いつもは冷静なキャプテンも、渾身のガッツポーズ。この土壇場の同点弾で息を吹き返した川崎U-18は、9人目までもつれ込むPK戦を制して、歓喜の輪を作る。結果的に悪天候の影響で40分一本勝負となったファイナルではガンバ大阪ユース相手に苦杯を嘗めたが、この準決勝で挙げた得点にはキャプテンとしての、そしてフロンターレの選手としての意地が、存分に詰め込まれていた。
クラブユース選手権後には、SBSカップに参戦するU-18日本代表に選出されると、ここでもチームのキャプテンを任され、3試合すべてにスタメンフル出場。抜群のリーダーシップを発揮しながら、プレー面でも丁寧なビルドアップと空中戦の強さで、チームを最後方から支え続けた。
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