地下鉄スト収束も今なお混乱するW杯直前のブラジル
飛行機の国内線のダイヤも、非常に乱れている。キャンセルや時間の変更が頻繁に起きており、旧知の複数の日本人ジャーナリストから、「飛行機会社に勝手に予約を変更され、困っている。助けてくれ」という悲鳴交じりのSOSが舞い込んだ。航空会社に電話してみたが、苦情が殺到しているらしく、「予約の変更はサイト上でお願いします」という録音が流れて、そのまま切れてしまう。全く無茶苦茶。言語道断だ。 もっと悪い情報がある。強盗、ひったくり、置き引きといった一般犯罪だ。5月末頃から外国人サポーター、メディア関係者らが続々とブラジル入りしているが、空港内での盗難が頻発している。 8日の早朝、知り合いのメディア関係者から電話があり、「今、(サンパウロの)グアルーリョス空港に着きました。で、着いてすぐ、空港内で、パスポート、クレジット・カード、パソコン、現金が入ったバッグを盗まれました」。呆然自失のようだった。 私にも覚えがあるが、こういうときは誰でも気が動転する。まず落ち着くよう話し、手短に以下を伝えた。 1)クレジット・カード会社へ電話をして、カードの差し止めと再発行を依頼すること 2)空港内の連邦警察へ行って、パスポートその他の盗難を届け出ること 3)盗難届の書類を持って日本総領事館へ行き、パスポートの再発行を依頼すること サンパウロの空港のみならず、ワールドカップ開催地の空港には地域の犯罪者が集結しており、極めて危険な状況にある。これは、大会期間中、ずっと続くと思った方がいい。空港、バスターミナル、ホテルのロビー、レストランなど人が集まるところでは、所持品を肌身離さず、また常に視野に入れておくこと。脇に置いていた、カウンターに置いた、足の間に置いた、というのはすべてバツ。しっかり持っていても強奪されることがあるが、これをやられたら、まあ仕方がないだろう。 また、常に周囲を見回し、怪しい人物がいたらそれとなく遠ざかること。そして、万が一、襲われたら抵抗しないこと。もし抵抗したら、盗難だけではすまなくなることが多い。考えられるすべてのリスクに対して可能な限りの対策を講じ、さらにその上で、最悪の事態を想定して心の準備をしておかなければならない。 かく言う私も、今回ばかりは本当に危ないと思っている。いつどこで被害者になってもおかしくないと覚悟しており、最大限の注意を払って「敵」に立ち向かうつもりでいる(それでも完全な防御などないから、やられるときはやられるのだが)。 (文責・沢田啓明/ブラジル在住フットボールジャーナリスト)