“ゆあビーム”にリーグトップの打率…プロ6年目で初スタメン、日本ハム・田宮裕涼の捕手力
日本ハム・田宮裕涼(たみやゆあ)がスターとなる前夜に迫った。 【写真で振り返る】プロ野球選手たちのスターとなる前夜
リーグトップの打率、“ゆあビーム”で盗塁阻止
毎年新星が登場するプロ野球だが、2024年のパ・リーグで最も驚きのブレイクを果たした選手と言えば田宮裕涼(日本ハム)になるだろう。 プロ5年間での一軍通算成績は31試合に出場して13安打、打率.228と目立った数字を残していない。 2023年シーズンも1年の大半を二軍で過ごし、イースタン・リーグでの成績も.220に終わっている。 しかし6年目の今シーズンは初の開幕スタメンを勝ち取ると、ヒットを量産。ここまでパ・リーグトップとなる打率.347をマークする大活躍を見せているのだ。 そして田宮の活躍はバッティングだけではない。 盗塁阻止率でもパ・リーグ2位となる.423を記録し、その送球は“ゆあビーム”と呼ばれ、グッズも販売されるほど人気となっている。 2023年までの成績を考えると、ここまでのブレイクを予想できたファンは少なかっただろう(2024年の成績は6月6日終了時点)。
強肩強打の捕手として評判の高校生
そんな田宮は千葉県の出身で、小学校6年の時には年末に行われている12球団ジュニアトーナメントの千葉ロッテジュニアにも選ばれている。 中学は関東でも屈指の強豪として知られる佐倉リトルシニアでプレー。進学した成田高校でも1年秋から正捕手となっている。 初めて現場でプレーを見たのは2年春、2017年4月30日に行われた専大松戸との試合だった。田宮は下級生ながら3番、キャッチャーで出場。 チームは2対3で惜敗したものの、田宮は第1打席でライト前ヒット、第3打席でセンター前ヒットを放ち、盗塁も決めるなど中軸として見事な活躍を見せた。 また捕手としても2.00秒を切れば強肩と言われるイニング間のセカンド送球で4度1.9秒台のタイムをマーク。3回の守備では素早いスローイングで盗塁を阻止するなど、守備でも高い能力を示している。 当時のノートには以下のようなメモが残っている。 「スローイングのフォーム、腕の振りの良さは出色。もう少しボールを持ち替える速さがほしいが、フットワークが良く足をしっかり使い、体の近くでコンパクトに腕が振れる。 低い軌道でセカンドベースまで一直線で届き、ボールの勢いも十分。実戦でも落ち着いた送球で盗塁阻止。 (中略) バッティングもバットを少し短く持ち、無駄な動きが小さく、鋭い振り出しでスイングの軌道も安定している。どのコースにもスムーズにバットが出ており、広角に鋭い打球を放つ。打てる捕手として攻守ともに非凡」 当時から守備、打撃の両面で高いポテンシャルを誇っていたことがよくわかるだろう。この頃から千葉県はもちろん、関東全体の高校生でも強肩強打の捕手として評判となっていった。