SOMPO社長、想定超えるM&A規模視野-株売却資金を活用へ
(ブルームバーグ): SOMPOホールディングスの奥村幹夫社長は、ブルームバーグとのインタビューで、政策保有株式の売却によって得られる資金を企業の合併・買収(M&A)にも活用する方針を示し、大型買収への対応も可能になるとの認識を示した。
傘下の損害保険ジャパンが抱える政策株1兆8000億円(時価)のうち、今年度からの3年間でまずは3分の1以上を売却する。売却益の半分を株主還元に充て、残りを成長ドライバーとして位置付ける海外での事業拡大や人材への投資などに充てる考えだ。
奥村社長は海外M&A戦略について、進出地域や取扱保険の拡大につながるような案件であれば「ちゅうちょなくやっていく」とした上で、買収対象の規模については「今までわれわれが想定した以上のものが十分視野に入ってくる」と述べた。
SOMPOは2017年に米損保のエンデュランス・スペシャルティ・ホールディングス(現SOMPOインターナショナル・ホールディングス)を約63億ドル(当時のレートで約7000億円)で買収したのが過去最大の案件となり、同社を軸に海外事業を展開している。
損保ジャパンなどの大手損害保険会社4社は、企業向け保険料の事前調整問題を受けて、適正な競争をゆがめる一因となった政策株をゼロにする方針を打ち出した。損保ジャパンは31年3月末までにゼロと計画。売却資金の活用使途に市場関係者の注目は集まっている。
奥村社長は国内損保、海外事業に次ぐ第三の柱として、国内の生命保険事業と介護事業を基盤とした高齢化社会での課題解決に資するサービスに注力する考えも表明。この分野では自社の基盤が「まだ全然弱い」とし、他社との提携や出資を行いながら「思い切って強化していく」という。
28日には今期から3年間の中期経営計画で修正連結ベースの株主資本利益率(ROE)13-15%(23年度実績は11.8%)、1株当たり純利益(EPS)成長率は12%程度を目指すと発表。同日の投資家向け説明会で奥村社長は中期的に時価総額を現在の約2倍に当たる6兆円を目指すと述べた。