【シニアプロ対談/海老原清治と奥田靖己】羽川豊や尾崎直道をアウトドライブする海老原の飛距離の秘密とは?
海老原の飛ばしの秘訣は「肩」
奥田 その「振る」いうことなんですけど、昔、エビさんに、「頭の重さは6キロも7キロもあるんだから、それを揺さぶったら飛ぶんだよ」って言われたことがあります。それも振って飛ばせる秘訣ですか。 海老原 うん、そうだよね。それとね、僕、2003年にアメリカに行ったときに、「ゴルフで大事なことを教えてほしい」って、向こうの選手、トム・ワトソンとか10人くらいに聞いたんだよ。 奥田 ごっつい人に聞いたんですね。 海老原 そうしたら10人中4人が「肩」って言った。肩ってことは、肩の回転だよね。下半身なんて言ったのは誰もいなかった。 奥田 それはすごい話ですね。 海老原 うん。僕は振るためには肩がいっぱい動かなくちゃいけないと思っていたから、「肩」って言われて、「あ、じゃあ俺のやってることは間違いねえな」って思ってさ。それで、クラブなんかによって肩の角度の使い方を変えていけば、この人たちの言っていることと同じになるなと思ったんだよね。たとえば、「水平に回す」、「少し斜めにして回す」、「たくさん斜めにして回す」。 あとは、「肩を途中で止める」、「いっぱい回す」。そうやっていろいろな肩の動きのイメージでスウィングをやってみたんだよね。それを写真や映像で撮ってみて、自分のイメージと実際の動きの違いを見て、そこを直したりした。けっこうイメージと違うものだから。 奥田 要するにそれって肩の入れ替えのことで、結局、バックスウィングとフォローでの体の入れ替えをしているということですよね。 海老原 うん、そうそう。 奥田 前に、エビさんは「背中を目標に向けるくらい体回せ」言うてましたけど、それと同じで、結局、大事なんは「体の入れ替え」やないですか。それを肩でやるのか、背中でやるのか。まあ、足と思ってやって背中が回っていたらそれも体の入れ替えの一つやし。どれでも自分がやってみて合うやつをやればいいんやけど、エビさんの場合はそれを肩でやってきたいうことなんですかね。 海老原 そう、僕の場合はね。 奥田 肩を回すのに、水平か、ちょっと斜めなのか、さらに斜めなのかをいろいろ検証されたというんは、上半身の前傾姿勢の角度だと思いますけど、これはどういったことを考えてやっていたんですか。 海老原 僕はよく、我孫子の先輩プロの佐藤精一さんから「右肩は絶対に下げるな」って口を酸っぱくして言われていたの。「スライス打つのに右肩は下げるんじゃねえ!」って。 奥田 それで肩を水平に回すイメージで振っていたんですね。 海老原 だって、僕はもともとフックボールを打っていたから、右肩は下がってたからね。 奥田 ああ、だからスライスを打つには平らに回すほうがええ、いうことなんですね。 海老原 そう。でも写真を撮ると少しは下がっているんだけれどね。でもそうやって、肩の回し方でフックもスライスも打ち分けられるんだよね。 TEXT/Masaaki Furuya、PHOTOS/Shinji Osawa、THANKS/浜松CC ※週刊ゴルフダイジェスト2024年4月23日号「もう“二花”のゴルフ対談 海老原清治×奥田靖己」より一部抜粋。
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