月9『海のはじまり』で大反響の34歳俳優「実家が保育園をやっていたので⼦どもに対する抵抗感は…」
兄弟役、恋人役をやった若葉竜也には特別な気持ちがある
――本作では池松さんの演じた荒川と、若葉竜也さんの演じた恋人・五十嵐の物語にも引き込まれました。ふたりの関係がとても自然にスッと入ってくるものだったので、後半の展開に衝撃を覚えました。 池松「今作では、マイノリティを決して特別なこととせず、普通に、その世界に、たまたまこうした同性同士の恋人がいたことを⾒てもらえるように⽬指していました。 ふたりに関しての後半の出来事は、男⼥でも、男性と男性、⼥性と⼥性でも、⼈と⼈の間に起こりうる摩擦だと思っています。今作ではマイノリティやクィアというような⾔葉がまだ浸透していなかった、20年程前を時代設定としており、そこに秘めた⽣きづらさがあるからこそ、よりふたりだけの世界を作り上げたいと思っていました」 ――若葉さんとは、『愛にイナズマ』から本作へと、兄弟役から恋人役という関係性で立て続けの共演になりました。 池松「ここの先もそうないだろうと思います。兄弟役と恋⼈役で共演した⽅は若葉くんしかいませんから、特別な想いがあります。 お互いに現場でたくさん喋るタイプではないですが、兄弟役を経て⼼の距離が縮まりました。そこで得たものを、今作の関係性にうまくいかせたらと思っていました」
映画の匂いが強い俳優がテレビドラマでも大活躍
――7月クールのドラマ『海のはじまり』が大好評です。若葉さんも前期『アンメット』がとても評判を集めました。池松さんは『宮本から君へ』(テレビ東京)の主演などでも映画ファン以外にも知られていますが、若葉さんは映画ファンにはよく知られた存在にも関わらず、映画を見ない層からは急にブレイクしたように騒がれた時期がありました。正直、どうご覧になっていましたか? 池松「テレビって凄いですね。僕はゴールデン帯連続ドラマに参加するのが 10 年ぶりだったんですが、こんなに反響があるかと驚きます。同時に映画ってあんまりみんな⾒てないよなと悲しい気持ちにもなります。でもとてもいいことだと思います。 様々なことが多様な時代、映画やドラマ、配信といったものへ、視聴者が⾃由にアクセスでき、それぞれが進化していくべき時に、各々の境界線を⾶び越えて、その領域を広げながら可能性を探っていくことは、とても良いことだと思っています。 ⽇本映画、⽇本のドラマ、⽇本の映像界全体が、過渡期にあって停滞していることを⼤前提として、別分野からどんどん刺激を与えて変化を促していくことは必要なことだと思います。映画を中⼼に活躍してきた若葉くんが、ボーダーを超えて求められ、本⼈が納得して⾶び込んで活躍するというのは、素晴らしいことだなと思います」