メルセデス・ベンツが考える次世代のオフローダーは異次元過ぎた! 新型G580 with EQ Technologyの実力に迫る
舗装路は無敵の安定感
オフロードでこれだけ安定しているのだから、舗装路は無敵の安定感を示す。しかも冒頭に記したように、タイヤ1本をメルセデスのA180のパワーで駆動している。目を閉じて想像してみてください。4本のタイヤそれぞれに、A180が装着されている状態を。 3tを優に超える超ヘビー級のボディなのに、アクセルペダルを踏むと前方に吸い込まれるような加速を見せ、これだけデカくて背が高くて重い車体なのに、一糸乱れぬ姿勢でコーナーをクリアする。 しかも、ほぼ無音・無振動で度肝を抜くようなパフォーマンスを見せるから、モンスター感がハンパない。寡黙な怪物ほど怖い。 というわけで、ここでセンターディスプレイのタッチスクリーンを操作、車両セッティングのページを呼び出して、「G ROAR」を作動させる。これはサウンドエクスペリエンス機能で、V型8気筒エンジンの音をモチーフに、アクセル操作に応じて疑似エンジン音を出す。 こうして言葉にするとギミック感があるけれど、この音がよくできている。実際にこの音を聞きながらドライブすると、気分がアガる。もう何十年も、アクセルペダルを踏むと音とパワーが盛り上がることに慣れているせいか、上手に、楽しく運転するためには音が大きな手がかりになっている。 生まれてはじめて乗ったクルマがBEVで、BEVしか知りませんという世代がこの音をどう感じるのか、興味があるところだ。 というわけで、オフロードでもオンロードでも、G580のパフォーマンスは圧倒的だった。なんでもできて、どこへでも行けそうな気にさせてくれる。これまでもGクラスは万能だったけれど、電気で走るG580は全能のクルマだ。
文・サトータケシ 写真・安井宏充(Weekend.) 編集・稲垣邦康(GQ)