「チョイ乗り」需要は長期低落業界を救うか 都心タクシー初乗り1km410円に
川鍋会長は、乗務員の営業収入に影響が生じる可能性を認識。「(初乗り運賃は値下げになるが)輸送回数は増えるはず。より多くのお客様に乗っていただいて全体としてプラスになれば良いと考えており、乗務員にはデータを整理して訴えたい」と話します。 新宿や六本木など山手線の西側でおもに営業するという男性乗務員(58)は「駅の乗り場のなかには初乗り運賃の利用客が7割か8割を占めるところがあり、それらで営業するタクシーは影響を受けるはず」と乗り場への入構を控える乗務員も現れるのではないかと予想。この度の運賃変更については「うまく需要が増えてくれるとありがたいのだが」と心配げに話していました。 輸送回数が増えるかどうかは、利用客次第です。30日昼、新宿西口地下タクシー乗り場でタクシーを待っていた目黒区在住の30代の女性会社員は「ありがたい。2km以内の移動にタクシーをよく利用するので」と運賃変更を歓迎。一方、杉並区の男性(80)は「初乗り運賃が下がるのは良いけど、遠くなるとどうなのか」と首をかしげます。 乗り場には、運賃変更自体を知らない利用客も複数いました。30日当日は、主要駅で協会関係者が運賃変更を知らせるチラシを配布しましたが、運賃変更によって需要を拡大するためには、こうした宣伝活動も含めて、利用客に対して利便性をいかに浸透させるかがポイントと言えそうです。 (取材・文:具志堅浩二)