ロシアに戻る出国者、戦時経済を押し上げ-プーチン氏は宣伝に利用
(ブルームバーグ): ロシアのウクライナ侵攻後最初の1年で、100万人ものロシア人が外国に移住した。だが、いまや数千人がロシアに戻り、プーチン大統領のプロパガンダと戦時経済の押し上げに寄与している。
戦争がまだ続き、戦争を開始した張本人であるプーチン氏が任期をさらに6年延ばす中で、多くのロシア人が難しい選択を迫られている。外国で仕事を確保し資金を移転することの困難さ、滞在許可の更新拒否、ロシア人を依然歓迎してくれる移住先が限定されているなどの問題に直面し、事実上の亡命生活に終止符を打つことを選ぶ人たちがいる。
モスクワで政治コンサルタントとして働いていたアレクセイさん(50)は反戦集会に参加し拘束された後で、ジョージアに移住した。移住先では起業を目指したが、「うまくは行かなかった。実際のところ、誰もロシア人を歓迎していない」と語った。事業用の資金が尽き、ロシアに戻ってきたという。アレクセイさんのほか、この記事でブルームバーグのインタビューに応じた全員が、安全上の理由で姓は伏せるよう要請した。
2022年2月のウクライナ侵攻後、ロシアではソ連崩壊以降見られていなかった規模の人口流出が発生した。戦争反対や、動員への恐れが理由だ。プーチン氏が同年9月に30万人の予備役を招集する部分動員令をかけると、さらに数十万人が国外に脱出した。
人口流出は反転していないまでも、ペースが鈍化した。ロシア当局は昨年6月、戦争開始当初にロシアを出国した半数が既に帰国したと胸を張った。これは移住先として人気のある国々や引っ越し業者のデータなど入手可能なデータにも表れている様子で、モスクワの引っ越し業者フィニオンの顧客データに基づくと、22年にロシアから移住した40-45%はこれまでに戻ってきたと、同社の責任者、ビャチェスラフ・カルタミシェフ氏は語った。
プーチン氏は実業家や起業家、高度専門人材の帰国を「良い傾向」だと称賛。実際の帰国理由には触れない一方、ロシア人が「帰属意識を持ち、何が起きているか理解している」証拠で、自身の政策に対する支持を示していると主張している。