「コロナ禍以降、どんどん加速しています」…空き店舗&スペースに「ガチャガチャ屋」ができまくる問題
まず、カプセルトイそのものの人気、需要が高まっていることが前提としてある。取り扱うキャラクターや精巧なミニチュア、小物やチャームなど、子供やマニアだけでなく大人世代も楽しめる、というよりもむしろ大人世代のほうが活気に満ちているような商品展開をみせ、幅広い層が楽しめるアミューズメントになったことも理由のひとつだろう。 その「出来の良さ」のようなもの、そしてアニメやゲームなどのコンテンツのグローバルな人気により、海外からの観光客にも安価かつある意味体験型のショッピングとして楽しまれていそうだ。 前出の小野尾さんは、 「SNSやインバウンド向け観光サイトなどで新商品や面白い商品が拡散されることで、『日本に行ったらやってみよう!』と思われるようになったことも人気上昇の理由のひとつではないでしょうか。もちろん国内のユーザーも同じような傾向はあると思います」 と分析する。 ◆高騰する人件費も… マーケティング事情にくわしいあるライターも、こう話す。 「言うまでもなくコロナ禍はさまざまな業界に大きな影響を及ぼしました。一時期街から人足が途絶えたことは、実店舗には大きなダメージで、閉店ラッシュを招いたことは誰もが知るところだと思います。ネットショッピングがますます浸透したこともあるでしょう。 そんななか、ガチャガチャは初期投資がカプセルマシンの設置以外あまりかからず、電気代も不要で製品の補充や交換程度の作業で済み、メンテもあまり必要ない。さまざまな業種で最も悩ましい人件費がほとんどかからないことも非常に大きいです。運用コスパも非常に高いのではないでしょうか」 いっぽう、住宅街など生活エリアの商店街やロードサイドでは、空き店舗ができたあとにコインランドリーや、冷凍グルメの自動販売機専門店、冷凍餃子の無人販売店などが新たに出店することも多いが、これも人件費の面などでは似たような理由ととらえられる。 カプセルトイ専門店は、その都心版、ショッピングモール版に近いだろう(もちろん生活エリアの商店街内にもカプセルトイ専門店が出店するケースもあるが)。 ’23年には過去最高の640億円、今年はさらにそれを上回る見込みとされ、カプセルトイ市場全体の活況が、商業地や観光地全体への集客力増加への追い風となる状況と言っていいかもしれない。 「入店しやすい明るくオープンな店構えは、特に都心の専門店ではマニア層の集う店のイメージを一新しました。多くの人でにぎわうことで、ショッピングモールや商店街の集客につながるという効果もあると思います」(前出・ライター) 都心などに出店するカプセルトイ専門店のいくつかについて、小野尾さんはこう説明する。 「メーカーと販売店の間の存在であり、商品の入れ替えや補充などを行う代理店が直接運営する店舗が近年増えてきました」 売れ行きの動向などを把握しやすい代理店の直接運営によって、さらに効率が上がることもビジネスモデルとして理想的だ。 商品内容もますます進化、ついつい回したくなってしまう気持ちが高まり続ける限り、低コストで高い集客効果がのぞめるカプセルトイ専門店・専門コーナーの出店はまだまだ増え続けるだろう。 取材・文:太田サトル
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