「SNS型投資詐欺」“全国初摘発”男女90人が一斉逮捕…被害額は10億円超か 中高年を“お手軽”にだます狡猾手口の実態
今回の“90人集団逮捕”は「情報提供」に基づいた快挙
冒頭で言及した全国初摘発のSNS型投資詐欺集団逮捕のきっかけは、今年4月に大阪府警へ寄せられた情報提供によるものであった。なかなか通常の捜査では尻尾をつかめない。 報道によれば、グループは為替相場の変動を予想する「バイナリーオプション」取引をめぐって、SNSで被害者にうその情報商材を売り込み、現金をだまし取った疑いがあるという。大阪府警は1800台以上のスマートフォンや詐欺のマニュアルなどを押収しており、分析と実態解明が待たれる。
“オール警察”でトクリュウ捜査体制を敷く
特殊詐欺の被疑者や犯行拠点は首都圏など大都市に所在しながら、全国各地で被害を発生させていることが多い。捜査範囲は広域にわたるが、従来の捜査は発生地主義方式が基本だったため、効率化が課題となってきた。 そんな中、今年4月に全国の都道府県警察へ設置されたのが「特殊詐欺連合捜査班」。他府県からの依頼に応じて管轄区内を捜査することで、全国の警察が一体となり、上位被疑者の検挙や、犯行拠点の摘発につなげることが期待されている。 トクリュウの犯罪に関しては、まさに“オール警察”で捜査体制を敷いているといえよう。 今回のSNS型投資詐欺集団逮捕により、当該犯罪の仕組みや実態が解明され、第二、第三のグループが逮捕されることを願ってやまない。 廣末 登(ひろすえ のぼる) 1970年、福岡市生まれ。社会学者、博士(学術)。専門は犯罪社会学。龍谷大学犯罪学研究センター嘱託研究員、法務省・保護司。2008年北九州市立大学大学大学院社会システム研究科博士後期課程修了。著書に『ヤクザになる理由』『だからヤクザを辞められない』(ともに新潮新書)、『ヤクザと介護』『テキヤの掟』(ともに新潮新書)、『ヤクザと介護』『テキヤの掟』(ともに角川新書)等がある。
廣末 登