ミセス「コロンブス」炎上を笑えぬこれだけの理由 初歩的なミス?文化や歴史認識のギャップはこうして起こる
気を付けているつもりでも、人と人との間の「認識の非対称性」を埋めることは実質的に難しい。特に、グローバル化が進めば進むほど複数の「非対称性」が生じてくる。 事前に複数の目でチェックする過程を経る必要があるように思う。少なくとも、表現面でのリスクに詳しい専門家と、(できれば多文化・他民族で形成される)視聴者モニターのチェックを経るようにしたほうがよいのではないかと思う。 今回に関しては、コカ・コーラ社はMVを事前に見ていなかったということなので、そこでチェック機能が働かなかったのはやむをえない。なお、誤解もあるようだが、MVとCM映像は、楽曲は同じでも映像は全くの別物である。CMの場合は厳しい考査が入るため、MVと同様な表現で放映されることは、まず考えられない。
テレビ局側も問題に気付かず放映してしまったようだが、一般にテレビ局は自局で制作した映像はチェックを行うが、外部制作の映像はチェックが手薄になりがちのように思える。 MVについて、テレビ局や広告会社などのチェック技術を持つ企業が助言する、あるいはそれらの企業が主導してチェック機能を持つ組織を作るなどの対応が、中長期的には求められるのではないかと思う。
西山 守 : マーケティングコンサルタント、桜美林大学ビジネスマネジメント学群准教授