ミセス「コロンブス」炎上を笑えぬこれだけの理由 初歩的なミス?文化や歴史認識のギャップはこうして起こる
2の表現に関しては、アーチスト側は差別的な意図、負の歴史を肯定する意図はなかったとしている。歴史上の人物が時を越えて類人猿と出会い、ホームパーティーをするというストーリーだったとしている。しかしながら、西洋人に扮した3人が、類人猿に文明を教えたり、人力車をひかせたりするシーンなど、映像で描かれていた世界は、見る側からすると、どうしても先住民支配と重なって見えてしまうことは否めない。 今回については、6月13日の朝には、民放各局の番組内で、MVの映像とともに新曲を好意的に紹介していた。アーチスト本人だけならともかく、テレビ局、あるいは所属事務所やレーベルなどの関係者が問題に気付かなかったのか? という疑問も湧いてくる。MVの制作、配信の段階でチェック機能が働かなかったことも大きな問題だろう。
■同様の問題は過去にもあったし、これからも起こりうる 日本において、広告やプロモーション関連で歴史認識や人種問題で物議を醸す場合、制作側が意図して政治的なメッセージを込めることは、ほとんど見られない。大半は、今回のように認識や配慮が足りなかったというものだ。 日本は島国であり、大陸各国と比べると人種的多様性も少ない。歴史や文化に対する認識のギャップに気づく機会が、相対的に少なくなりがちだ。 一方で、海外でも類似のことは起きている。
2018年、スウェーデンのファストファッションブランドのH&Mが、オンラインショッピングサイトに、「Coolest Monkey in the Jungle(ジャングルに住む最もクールな猿)」と書かれたTシャツを着た黒人男児の画像を掲載して炎上、取り下げとなった。 同年、イタリアの高級ファッションブランド、プラダ(PRADA)が発売した猿のキャラクター「オット(Otto)」が人種差別的なものだとして物議を醸し、販売中止となった。
ここで、読者の方にクイズを出したい。 ある日本のメーカーが、2021年7月7日に中国で新商品を発売するというネット広告を掲載したが、炎上。広告を削除し、謝罪に追い込まれた。なぜだろうか? この答えだが、メーカーとはソニーのことである。炎上したのは、発売日が盧溝橋事件が起こった日だったからだ。 筆者がこの事件について知ったとき、「自分が担当者だったとしたら、はたしてこの火種に事前に気付いてトラブル回避ができただろうか?」と疑問に思った。