楽天5位の早大・吉納翼 巨人・長野の神対応でプロ野球選手に憧れ 今度は自分が夢与える!
楽天ドラフト5位の早大・吉納翼外野手(4年)は、下位指名ながらアマチュア球界屈指のパンチ力を備える左打者。早大では1年時からリーグ戦に出場し、プロに旅立った好投手たちと対戦し、対応力を磨いた。ドラフト1位の明大・宗山塁内野手(4年)とともに「東京六大学野球コンビ」として即戦力での活躍を目指す。 吉納らしいアーチで早大のユニホームに別れを告げた。東京六大学野球連盟による「野球部グランドを子どもたちの遊び場へ」が15日に早大で開催され、吉納は開会式のデモンストレーションに登場。ロングティーで4本の柵越えを放つと、来場した100人を超える子供たちが一斉に目を輝かせた。 「僕もそれ(憧れ)でプロ野球に対しての熱が凄く湧いたので、野球が好きになるきっかけになればいい。“プロに行ってからも頑張って”という言葉ももらえたので、プロでも活躍したい」 早大の主軸として、リーグ通算13本塁打をマークした左の長距離砲。4年春は3本塁打、秋は自己最多の4本塁打と大学最終シーズンまでアピールを続け、楽天5位指名で夢のプロ入りを果たした。 愛知県春日井市出身で、東邦(愛知)では2年春に1学年上の石川昂弥(現中日)らとともに甲子園出場。幼少期からナゴヤドーム(現バンテリンドーム)に通ったが、意外にも巨人・長野ファンだった。 小学生の時に中日―巨人戦を右翼席で観戦。イニング間に巨人の右翼手・長野がスタンドに向かってボールを投げ入れたが、吉納少年は無念の落球。フェンスと観客席との間にボールが入り込んでしまったという。憧れのプロ野球選手からの贈り物をつかみ損ね、肩を落とすも「神対応」はここからだった。次の回、長野が再び吉納に向かってボールを投げた。今度こそしっかりキャッチ。「そこから、物凄い長野さんのことが大好きです。プレーももちろん好きなんですけど、人として、プロ野球選手としての振る舞いを鮮明に覚えている」と振り返る。 長野の背中に憧れの視線を送った少年は愛知で育ち、東京六大学野球の舞台で磨かれ、そしてプロ野球選手に。「機会があれば(長野に)その話をしたいと思います」と吉納。ファンが憧れる選手になることを決心した。 (柳内 遼平) 【ドラ1・宗山と東京六大学コンビとして輝く!】 今秋ドラフトでは東京六大学野球リーグの選手が、吉納を含めて6人指名された。チームメートの山県は日本ハムの5位で、卓越した遊撃守備でレギュラー定着なら、西武・源田とゴールデングラブ賞争いをしても不思議はない。 楽天1位の明大・宗山は高い守備力とミート力を備え、新人王有力候補に挙がる。日本ハム3位の明大の右腕・浅利、同6位の法大右腕・山城は大学生ながら将来性が期待される好素材で、数年後の大ブレークを狙いたい。投手で一番の即戦力候補は、DeNA2位指名の法大の右腕・篠木。最速157キロの直球を持ちながら先発としてゲームメーク能力にもたけており、開幕ローテーション争いに加わることになりそうだ。 ◇吉納 翼(よしのう・つばさ)2002年(平14)8月16日生まれ、愛知県春日井市出身の22歳。東邦(愛知)では2年春に甲子園出場し、明石商(兵庫)との準決勝で本塁打を放つなど左翼手として優勝に貢献。早大ではリーグ通算76試合出場で打率.255、13本塁打、52打点。今夏は大学日本代表に選出された。1メートル80、87キロ。右投げ左打ち。