フランスのビーチはコート・ダジュールだけじゃない!「サン゠ナゼールの海小屋」で知る大西洋側のフランス暮らし
サン゠ナゼールのビーチを探訪
サン゠ナゼールには20のビーチがあり、海岸線には遊歩道が整備されています。散歩やサイクリングに気持ちよさそう。カフェやレストランが集まる、自動車が進入禁止のエリアもあり、海を眺めながらランチを楽しむ地元住民の姿も。海辺の街の暮らしを垣間見ることができます。 海沿いのアルベール1世通りを、海を左手に進むと、サン゠ナゼールならではの印象的な風景に出会えます。それは通称「カルレ(Carrelets)」と呼ばれる海小屋の集まり。 浅瀬や波打ち際に櫓のような足場を組み、その上に小屋が載った造り。テラスに“カルレ”という名の“四つ手網”が設置されています。これは南フランスなどの伝統的な漁法で、テラスから手網を水中に沈め、しばらくしてから引き上げると、網の上に残された小魚やカニが獲れるという仕組み。漁師さんは獲物がかかるまで、小屋で待てばいいわけです。スリランカ南部の櫓漁と、スタイルが似ていますね。 このカルレは市街地近くには20軒ほどあり、うち2軒は1時間50ユーロでレンタルすることができるそう。室内は3畳ほどの広さで、テーブルとイスが1セットあるのみ。シンプルですが、それでも海の上で過ごす時間は、特別なひと時となりそう。いつかやってみたい、サン゠ナゼールならではの海の満喫法です。 サン゠ナゼールの20世紀中期の黄金期を知るなら、博物館「エスカラトランティック」へ。アメリカに向けて大西洋を横断した伝説の大型客船ノルマンディー号やフランス号の大航海を追体験できます。 ランク別に分かれたキャビンや優雅なラウンジ、シルバーや皿、メニューが展示されたレストランなど、各展示室をめぐるうちに気分はいつしか紳士淑女に。当時の優雅な船旅の乗船者と気分が重なります。 ちなみに、『タンタンの冒険』シリーズの『ななつの水晶球』の物語でもタンタン、スノーウィ、ハドック船長が大西洋航路だった頃の、この地を訪れているとか。タンタンファンの聖地巡礼にもなりますね! サン=ナゼール ●アクセス パリからナントへ空路で約1時間10分、または列車で約2時間。ナントから列車で約1時間。ロワール川の川下り(芸術プログラム)では約2時間。 取材協力 エールフランス航空 フランス観光開発機構 ナント観光局 古関千恵子(こせき ちえこ) リゾートやダイビング、エコなど海にまつわる出来事にフォーカスしたビーチライター。“仕事でビーチへ、締め切り明けもビーチへ”をループすること30年あまり。 ●Instagram
古関 千恵子