「圧倒的存在感」“今年の漢字”にちなんで…“金”のイメージとともに戦う漫画・アニメのキャラクター
■“黄金の精神”を見せつける第5部主人公…『ジョジョの奇妙な冒険』ジョルノ・ジョバァーナ
同じく『週刊少年ジャンプ』にて1986年から連載を開始し、今もなお掲載誌を変え、新たな物語が描かれ続ける荒木飛呂彦氏の『ジョジョの奇妙な冒険』。 部ごとに舞台となる時代や国が移り変わるのも特徴の本作において、“金”にまつわるキャラクターが活躍したのが、第5部「黄金の風」である。 舞台を現代のイタリアに移し、ギャングたちの抗争が描かれる第5部。なかでも主人公であるジョルノ・ジョバァーナは、とくに“金”のイメージが強いキャラクターである。 ジョルノは15歳という若さでありながら、幼いころに抱いた憧れを信じ、“ギャングスター”になるため組織の乗っ取りを画策し突き進んでいく。 整った中性的な顔立ちに美しい“金髪”が特徴のジョルノだが、やはりなんといっても特徴的なのは、“黄金”の名を冠するスタンド「ゴールド・エクスペリエンス」の存在だろう。 その名の通り、全身が“金色”をした人型のスタンドで、殴ったものに生命を与え、無機物から生物を生み出す能力を有する。生み出せるものは多岐にわたり、ツタやバナナといった植物、カエルや蛇といった動物まで自由自在。また、この能力を活用し仲間の傷を癒すなど、貴重な回復役としても活躍していた。 “金”が持つ派手さはもちろん、生命力を生み出す存在としての神々しさも感じる、実に洗練されたキャラクターデザインだといえるだろう。
■巨体から繰り出される鮮やかな空手技…『黄金戦士ゴールドライタン』ゴールドライタン
ロボットアニメのなかにも、“金”をイメージカラーとしたド派手な造形のキャラクターが登場している。 その代表的な存在といえば、1981年から放送されたタツノコプロ制作のアニメ『黄金戦士ゴールドライタン』だろう。 主人公の少年・大海ヒロシがロボットたちと手を取り合い、世界を侵略しようとするイバルダ大王との戦いに身を投じていく本作。なかでも“金”がテーマカラーとなっているのが、タイトルにもなっているロボット・ゴールドライタンだ。 金色の“ライター”から変形するゴールドライタンは普段は掌サイズだが、異次元空間である「レインボーロード」を通過すると身長30mの巨大ロボになることができる。 角ばった姿からは想像しがたいが、実はゴールドライタンは“空手”の技を主体とした戦いを得意としており、拳による一撃はもちろん、ときには鮮やかな回し蹴りを披露したりと、思わぬ身軽さを見せつけるのが意外で面白い。 なかでも必殺技である「ゴールドクラッシュ」は圧倒的だ。空手の“貫手”で相手を貫き、その奥にある“中枢回路”を抜き取り、なんと握りつぶしてしまう。 金色の角ばったフォルムがどこかマスコット的ではあるものの、一方で攻撃にひるまず突き進む耐久力や、鮮やかな格闘術で相手を叩き伏せる戦闘力など、その鮮やかな活躍に目を奪われてしまうこと間違いなしだ。 あるときはキャラのイメージカラーとして、またあるときは攻撃手段として……ひと口に“金”といっても、作品ごとにその扱いは千差万別だ。強欲の象徴や生命エネルギーや魂の輝きなど、同じ“金”でもキャラクターごとに抱くイメージがまるで異なるのは非常に面白い点だろう。 煌びやかな輝きで圧倒的存在感を放つ彼らの活躍を、この機会に振り返ってみてはいかがだろうか。
創也慎介